2013 Fiscal Year Annual Research Report
女性の就業選択と性別役割意識に関する計量社会学的研究
Project/Area Number |
23730472
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
橋本 摂子 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (70323813)
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Keywords | 性別役割意識 / 若年層雇用 / ライフコース選択 / 女性の就労支援 |
Research Abstract |
本年度は、主に2007-2013年のパネルデータから性別役割意識の変動とその規定要因を分析した。以下に、分析から得られた知見を示す。 まず、パネルデータから性別役割意識はかなりの程度可変的な意識であることが示された。男女ともに結婚の前後でもっとも大きな変化をこうむり、結婚後徐々に安定していく。意識が行動を規定する規範機能、現状を事後的に肯定する追認機能の二つの仮説を検証した結果、未婚者層を見る限り、特に女性では、性別役割意識が就業選択を規定する証拠は見当たらず、機能性という点では主に現状追認を中心とすることが明らかになった。 本分析からえられたもう一つの重要な知見は、性別役割意識の変容において、男女に共通する特徴として、「幸福な家庭生活」の重視が性別役割受容に結びつく、という点である。特に、女性に見られる結婚意欲上昇を媒介とする性別役割の受容化は、幸福な結婚生活に対する予期的な順応(あるいは期待)としての機能を果たすと考えられる。重要なのは、「幸福な家庭生活」志向と性別役割の受容が連動すること、つまり結婚前の段階で想定される家庭生活の中に、すでに性別役割分業が含まれている点であろう。日本において女性就業の障壁となるのは、性別役割意識というよりも、むしろこのようにステレオタイプ化された「幸福な家庭」像の方だといえる。 したがって、女性の就業や社会参画の促進にあたっては、結婚後の家庭生活へ向けたあらかじめの適応過程から性別役割の受容を切り離すことが重要だと考えられる。その意味でも、女性の就業継続や男性の家事育児参加をサポートする環境整備が依然急務でありつづける。未来世代における家庭のあり方の多様性を物理的に促進していくことが、一元的な家庭像の解消に向けた重要な政策課題となるだろう。
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Research Products
(3 results)