2013 Fiscal Year Annual Research Report
トランスナショナルに構築される「日比国際児」のアイデンティティとキャリア・プラン
Project/Area Number |
23730475
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小ヶ谷 千穂 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 准教授 (00401688)
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Keywords | 日比国際児 / 移動経験 |
Research Abstract |
日比間の人の国際移動の帰結として生まれた在比「日比国際児」のアイデンティティ構築課程の中でも、特に10代~20代前半の「キャリア・プランの設定」という場面に着目し、そこにおける国家・市場・市民社会、という3つのアクターにと当事者との相互作用を解明することで、「日比国際児」の動態的研なアイデンティティ構築を国際社会学的視角から実証的に分析することを目的とする本研究の最終年度にあたる本年は、①市民社会的活動に参加している日比国際児の来日イベントにおける経験のキャリア・プランにおける効果の検討、および②すでに本人ないし母親の日本での就労に伴って来日している日比国際児の調査、を主として実施した。なお、②に関してもすでにフィリピンにおいて市民社会的活動と接触のあった子どもたちが対象となった。①、②それぞれともに、子どもたちが生まれてきた背景としての「移動」だけではなく、彼ら自身が経験する日比間での「移動」そのものが、 本人たちのキャリア・プランや、その基盤となるアイデンティティの構築過程において重要であるとの結論にいたった。加えて、さらに長期的なスパンでの継続的な調査が必要という結論にいたり、H26年度からの新しい科研費採択研究課題(基盤C)「トランスナショナルな移動経験を通した日比ダブルの若者のアイデンティティ構築」の発案につなげることができた。 上記のように、最終年度においては、あらためて昨年度までの研究で得られた知見を展開し、また平行して実施している科研費での共同研究の成果をもとに、「国際移動と子ども」という研究分野そのものの理論的含意について考察を深めることができ、関連する海外での研究発表も行うことができた。
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