2012 Fiscal Year Research-status Report
遺族を支援する社会資源にかんする社会学・法社会学的研究-家族政策との接点から
Project/Area Number |
23730481
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浅利 宙 広島大学, 社会(科)学研究科, 准教授 (10399165)
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Keywords | 社会学 / 遺族支援 / 社会集団 / セルフヘルプグループ |
Research Abstract |
今年度は、遺族支援グループの活動状況に対する調査を計5回実施(定例会4回、総会1回)するとともに、遺族支援に関する国内外の研究状況を把握するために、関連する文献の収集と整理、ならびに、関連する研究会への参加を行った。また、現在までの研究状況の報告を、第85回日本社会学会大会のポスターセッションにて行った。 こうした一連の研究活動を通して、今年度は特に、遺族支援グループの活動を継続的に調査しながら、そこでみられる新たな活動動向の把握を試みる一方で、これまで行ってきた遺族支援グループの活動展開と調査活動との関連について主に着目して整理を行った。 新たな活動展開については、現在の終末期医療に対する提言を目的とした遺族支援グループ自身による調査報告等の活動があり、注目される。グループの活動展開と調査活動との関連については、特に支援グループの組織形成と展開の過程が、①活動面‐運営面、②集団内‐対社会という2つの軸によって構成される4つの側面(集団内の支援活動、対社会の情報発信活動、集団内の運営、対社会の運営(他の支援グループとの連携など))を絡み合わせる形で把握されることを指摘した。 以上の整理と検討の結果から、今後、対社会の情報発信活動の影響等に目を向けていく必要性(ならびに困難性)とともに、これまでの諸研究において、集団内の支援活動、集団内の運営に関する調査、対社会の情報発信活動に対する調査研究は行ってきたものの、対社会の運営に関する調査(他の支援グループとの連携に関する調査)は、ほとんどみられないという現状が浮上してきたため、この点に関する調査を実施する必要性を指摘することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺族支援グループの活動展開については、継続的に調査を実施することができており、順調に進展していると評価している。また、国内外の研究動向についても、関連資料を入手し、整理に着手しており、順調に進展している。ただし、特に国外の文献に関しては、読解と整理にやや時間がかかるため、この点で課題を残している。しかしながら、総合的には「おおむね順調に進展している」と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
①これまで実施してきた遺族支援グループの調査を今後も継続しつつ、国内外の研究動向について、関連文献や研究会でみられる情報を収集、整理していく。②それに加えて、調査対象とする遺族支援グループを複数に拡大して、比較検討ができるように努めていきたい。③また、研究実績の概要で課題として指摘した「他の支援グループとの連携に関する調査」についても、端緒を開きたいと考えている。④さらに、対社会の情報発信活動の点で、遺族支援グループの活動が、社会政策や法制度にどのような影響を与えうるのかという研究課題についても、より積極的な情報収集と考察を展開したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用内訳で、大きな部分を占めるものとしては、国内外の研究動向に関する文献の購入費用と情報入手のための研究会等への参加旅費、遺族支援グループの活動調査に関する旅費となる。このなかで、遺族支援グループの活動調査は、調査対象となる遺族支援グループの活動実施状況に左右される部分を避けることができないが、いずれの費用にしても、必要に応じて、適切に使用していく所存である。
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