2013 Fiscal Year Research-status Report
遺族を支援する社会資源にかんする社会学・法社会学的研究-家族政策との接点から
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23730481
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浅利 宙 広島大学, 社会(科)学研究科, 准教授 (10399165)
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Keywords | 社会学 / 遺族支援 / 家族社会学 / 法社会学 |
Research Abstract |
今年度は前年度に引き続き、遺族グループの活動調査(事例調査、複数の分野の当事者集団(がん遺族のグループなど)の活動状況に関する情報収集)、ならびに、主に海外の文献研究(グリーフケアの社会学的研究、パーソナルライフの社会学的研究、アクションリサーチや自伝・伝記等のデータ活用等の社会調査法の諸研究の整理)を実施した。また、医療系の学会で研究内容を講演する機会があり、本研究課題の一部について報告を行った。 文献研究からは、特にイギリスと日本の比較という視点のもと、亡くした相手との絆が相互行為を通して表現されることの社会学的解釈の方法と、個人と家族の関係を把握する枠組みについて示唆を得ることができた。また、調査者と被調査者の関係についても、検討課題が浮上してきた。 調査から得た知見や課題としては、集団運営の転換期に差しかかるなかで、活動内容の見直しや運営メンバーの世代交代に着目する必要性が浮上してきた。また、複数の領域における当事者集団の活動状況を観察していくなかで、多くの集団的活動にみられる、相互支援の活動と、当事者の立場からの社会的情報発信活動・政策や法制度への働きかけの活動という二つの方向性の展開パターンについて、運営主体による相違点や、病気、自死、交通事故などの要因による相違点を比較する必要性も浮上してきた。この両者の関係を把握・整理することは本研究課題の中心テーマであり、最終年度となる来年度には、一定の取りまとめを行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献研究の点では、本研究課題に関連する社会学系の諸研究(特に海外の研究)の文献収集と整理を行っているが、一部、手薄な領域はあるものの、全般的に順調に進んでいると判断している。 社会調査の点では、これまで実施してきた遺族グループの事例調査は順調に継続している。また、「がん」や「自死」「交通事故」など、他の領域の当事者集団、遺族支援活動についても、事例研究のレベルにまで達することは難しいものの、一定の情報収集は進んでいると判断している。 総じて、「おおむね順調に進展している」と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は本研究課題の最終年度となるので、本年度までの研究活動を通して得られた知見と浮上してきた課題に対して、調査活動と文献収集・整理活動を継続しつつ、一定の取りまとめを行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画通りに助成金を使用した結果、この金額となっている。 最終年度となる次年度は、今年度と同様に文献情報収集のための費用と調査のための旅費が主な内容となる。いずれにしても適切に使用する所存である。
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