2012 Fiscal Year Research-status Report
保育による地域への介入過程に関する社会学的研究―保育の「誕生」から全域化まで―
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23730483
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
増田 仁 熊本大学, 教育学部, 講師 (80510560)
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Keywords | 国際情報交換 イギリス / 保育の歴史社会学 / 保育の戦後史 |
Research Abstract |
イギリスの社会史に関する先行研究をリファーするとともに、夏季休業と冬季休業を利用してイギリスに2回、各2週間程度行き、大英図書館等で保育の歴史に関する資料収集を行った。子ども資料館をはじめ様々な博物館を見学し、産業革命期の子どもがどのように扱われ、子どもへのまなざしがどのように変容していったのかについて、おもちゃや洋服などの物的資料から知見を広めた。また現地の研究者と情報交換を行い、日英を比較研究する上での重要な示唆を得た。美術館等の見学を通して、大英帝国というものがどのような存在であったのかを目の当たりにできたことは、本からだけでは得られない大きな収穫であった。 秋以降は、山形県鶴岡市における昭和30年代の保育実践に関するこれまでの調査の分析を洗練させて、理論的枠組みを形成しつつ論文としてまとめ、日本教育社会学会誌に投稿した。また、牛乳をめぐる食育の戦後史について研究計画を提出し、日本酪農乳業協会より研究資金を獲得し、給食の歴史に関する先行研究のリファーを行った。さらに全労済に対して東日本大震災後の子育てネットワークの形成過程に関する研究計画書を提出し、採択されて研究助成金を獲得した。東日本大震災に関する先行研究を読み込むとともに、春休みを利用し、熊本に避難してきた方へのインタヴュー調査を行った。年度末には、熊本大学出版助成事業から助成金を獲得し、博士論文を刊行する資金を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イギリスに調査に行くことができ、論文を書く上で必要な資料を収集できた。しかしまだ論文にまとまっていないため、作業が遅れているといえよう。農繁期託児所に関する調査結果は論文にまとめられた点は順調に研究が進んでいると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
牛乳にまつわる食育の戦後史を掘り下げていくことで、子どもに対してどのような食教育が学校や家庭でなされていたのかを明らかにする。また東日本大震災以降、避難者や避難せずに被災地にとどまり続けている方へ子育ての取り組みを聞き取り調査することで現代の保育の在り方をとらえ返していく。また今年度は博士号を取得することが大きな課題である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
先行研究(戦後史、学校教育史、栄養学の歴史、震災研究等)の書籍を購入、あるいはコピーするために研究費を使用する。学校給食従事者への聞き取り調査の宿泊費、謝礼、テープ起こしに費用を当てる。また、震災関係の方へのインタヴュー調査の宿泊費、謝礼、テープ起こしに研究費を使用する。
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