2014 Fiscal Year Annual Research Report
アジアのテレビ広告におけるジェンダー役割・家族像・外国イメージの国際比較研究
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23730491
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
ポンサピタックサンテ ピヤ 長崎県立大学, 国際情報学部, 准教授 (60555481)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | テレビ広告 / アジア / ジェンダー役割 / 家族像 / 外国イメージ |
Outline of Annual Research Achievements |
「アジアのテレビ広告におけるジェンダー役割・家族像・外国イメージの国際比較研究」と題した本研究は、アジア諸社会のテレビ広告に現れる文化価値観の内容分析を中心とした国際比較を通じて、社会と広告の相互関係の解明をめざすものである。最大の研究目的は、異なった文化的・歴史的背景をもつアジア諸社会において、いかに広告が社会状況やその変化を反映しているかを明らかにすることである。具体的には、日本・中国・韓国・台湾・シンガポール・タイのアジア6ヵ国のテレビ広告をとりあげる。本研究の最終目標は、こうした課題を通して〈アジア広告の社会学〉という新たな研究分野を創設することである。 マーケティングや広告の研究では、広告を分析する際、商品販売のための広告効果や消費者行動過程に大きな力点が置かれている。しかし、比較文化社会学的視点から、広告の背景にある社会・文化構造の変動を詳細に解明する研究はあまり存在しない。すなわち、従来の広告効果という観点からは、社会全体に影響を与える広告における社会・文化構造の変動という視座が見逃されてしまうという限界がある。そのため、本研究は、こうしたマーケティングや広告の理論研究の限界を乗り越えるため、文化社会学の観点から広告と社会をめぐる議論を検討する立場にたっている。 2011年から2103年までのこれらの6カ国のテレビ広告の国際比較の分析結果から、広告とは、当該社会における既存の社会的な価値意識を直接的に反映するものではなく、新たな社会変容のあり方を先取りすると同時に、来るべきライフスタイルや価値意識を指示するものである、ということが明らかになったと結論づけた。つまり、本論文の議論から、広告は、消費社会において「身近でありつつ理想的なイメージ」というシンボルの創出をとおして、現実の「ある姿」と本来の「あるべき姿」とを結びつけているということが明らかになった。
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