2012 Fiscal Year Research-status Report
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23730500
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Research Institution | Fuji Tokoha University |
Principal Investigator |
山本 早苗 富士常葉大学, 環境学部, 講師 (40441175)
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Keywords | 西部大開発 / 中国社会 / 災害 / 近代化 / ライフヒストリー |
Research Abstract |
本年度は、本研究の中心テーマである西部大開発に関する資料収集および中国社会の近代化と災害・開発に関する国内外の資料収集を幅広く収集し、分析枠組みを確立することに力を注いだ。近年、中国国内でも研究蓄積の著しい民俗学、人類学、社会学による調査報告書に加えて、アメリカやイギリスなど海外研究者による中国研究の古典および最新動向についても資料収集を行い、貴重な資料を多く入手することができた。 また、これまでに収集した資料の整理を進めて、1980年代以降の調査対象地と近隣地域社会の変化を整理し、年表の作成や統計データの編集作業を中心に作業を行った。1970年代以前のデータについては、民族誌・民俗誌のデータや調査報告書をもとにして、調査対象地域と甘粛省が中国社会において占める社会的・政治的布置の変遷という観点から整理し直した。これら資料の整理を通じて、エスノグラフィー作成に向けて、具体的な調査項目の整理を行い、次年度以降に行う長期フィールドワークの準備を入念に進めた。 本年度は、大学統合に伴う手続きなどのため、想定していた以上に多くの時間と労力を校務に割かれてしまったことと、膨大な資料の整理が間に合わず、予定していた学会報告を見送らざるを得なかった。しかし、次年度の学会報告と学術誌への投稿論文執筆の準備をすでに進めているため、本年度の調査研究成果については、次年度にまとめて発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度より、申請者が所属する大学を含めた3キャンパスが統合するに伴い、統合申請のための各種申請手続きや準備作業に追われて、予想以上の時間と労力を割かねばならず、当初、夏季休暇中に予定していたフィールドワークを行うことができなくなってしまった。申請計画時には想定していなかった不測の事態により、調査の進捗状況は、当初計画よりも遅れてしまった。 また、当該年度より、申請者が研究分担者となった研究事業が新たに始まったため、共同研究者との準備作業にも多くの時間を割かねばならず、当該事業が予想よりも遅れざるを得なかった。 しかしながら、現地での短期間のフィールドワークにおいては、予想していたよりも効率よく資料を収集することができ、本研究を遂行する上で不可欠な文献やデータの収集も行うことができたため、それまでの本研究の大幅な遅れを取り戻すことが可能になった。そのため、現在の研究の進捗状況は、やや遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでのフィールドワークの遅れを取り戻すべく、長期休暇を活用してフィールドワークを集中的に行うとともに、短期間の休暇も有効的に活用したフィールドワークを行なえるよう調査計画を見直す予定である。フィールドワークを実施するにおいては、長期滞在時は、参与観察を主としたアプローチを採用するが、短期間のフィールドワークにおいては、焦点を絞った聞き取り調査やアンケート調査、資料提示型インタビューなど複数の調査手法を駆使することにより、これまでの調査の遅れを取り戻す工夫を凝らす努力をする。 すでに手元には、これまでのフィールドワークで収集した豊富な資料が揃っているので、これらデータの整理・分析を進めるとともに、西部大開発めぐるエスノグラフィーの作成に向けて、厚い記述を可能とするような基礎データを積みかさねることに主眼を置いて調査研究を進めてゆく計画である。 これまでの調査の成果については、本年度、国内外の学会で報告するとともに、学術雑誌に投稿する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、中国での聞き取り調査や資料収集、および国内の関係機関での資料収集などフィールドワークを主体に行うため、おもに調査旅費として支出する計画である。また、研究を進めてゆく上で必要な国内外の文献や統計データ・写真など資料の購入も予定している。
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