2013 Fiscal Year Research-status Report
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23730500
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Research Institution | Fuji Tokoha University |
Principal Investigator |
山本 早苗 富士常葉大学, 環境学部, 准教授 (40441175)
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Keywords | 国家開発プロジェクト / 中国社会 / 災害文化 / 開発文化 / 棚田建設 / 環境史 / 社会的排除 / 甘粛 |
Research Abstract |
本研究は、グローバル化による定住と移動のダイナミズムを背景に、現代中国社会において災害と開発を契機にローカルな社会に形成される災害文化/開発文化に着目することで、あらたな社会関係が構築されていく過程と社会的排除のしくみについて環境社会学的に分析することを目的とする。 本年度は、これまで2年間で収集した西部大開発に関する大量の統計データや行政資料、先行研究、および聞き取り調査で得た関連資料や音声データを整理することに重点をおいて研究活動に取り組んだ。とくに、開発文化を創出してゆくメカニズムにおいて、社会的排除や包摂がどのように行われているのかを、生活者のコンテクストにおいて考察するための作業を行い、最終年度に学会報告を行うとともに、学術誌に論文投稿するための準備を行った。 また、研究を進めてゆく中で、西部大開発による社会のダイナミズムを解明するには、開発文化や災害文化に関する表象の考察が不可欠であるため、記憶論や空間論等の文献を収集・整理するとともに、最終年度に向けて、本研究の分析枠組みをブラッシュアップするための基礎的作業を行った。 申請者が、これまで日本の農山村で取り組んできた研究に関しては、科研費・研究成果公開促進費の助成を受けて、博士学位論文を大幅に加筆修正して、単著を出版した(山本早苗,2013,『棚田の水環境史 ―琵琶湖辺にみる開発・災害・保全の1200年』昭和堂)。本書では、中国の棚田地域の調査研究から得た知見を反映させて、水環境史の日中比較への展開可能性についても論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日中関係の不安定化や中国西北地域における政治的不安定の問題があり、当初、想定していたように長期滞在の調査や国家開発の内実に関わる調査を展開することが困難な状況となっていたため、これまでに収集したデータの整理を中心に進めることで、調査の遅れを取り戻すことができた。 統計データや関連資料、文献データ等は、想定していたよりも効率的に収集することができ、貴重な資料を入手することができているため、今後、それらのデータや資料を整理して、学会報告を行うとともに、学術誌に論文投稿することにより、これまでの調査の遅れを取り戻すことが可能である。また、最終年度に、補足調査を予定していることから、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これまでの調査の内容と課題を整理するとともに、調査成果を総括することに重点をおいて研究を進める。具体的には、8~9月にかけて一カ月程度、現地調査を行い、これまでの調査項目の不備を補うとともに、研究を進めてゆく中で、新たに調査項目として出てきた課題について追加調査を行う予定である。 帰国後、各研究項目全体に関して文献資料とフィールド調査で得たデータを総合的に分析・考察し、研究成果を公開するための活動を行う。成果公開の方法としては、口頭発表や学術論文投稿に加え、オーラル・ヒストリーを作成するとともに、フィールドの映像や音声記録を編集し、社会学的映像作品の作成にも取り組む予定である。
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Research Products
(2 results)