2013 Fiscal Year Annual Research Report
社会調査におけるテキスト型データ分析支援システムの開発
Project/Area Number |
23730502
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
樋口 耕一 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (00452384)
|
Keywords | 社会調査法 / 質的研究 / 内容分析 / 計量テキスト分析 / テキストマイニング / KH Coder |
Research Abstract |
最終年度に実施した研究の成果は以下の通りである。第1に研究の成果を書籍『社会調査のための計量テキスト分析――内容分析の継承と発展を目指して』(ナカニシヤ出版・2014)にまとめる作業を行った。この書籍の内容には、研究期間全体を通じて実施した研究の成果が含まれており、その概要は以下の通りである。 (1)社会調査では、人々の自由記述・インタビュー記録・新聞記事など、様々なテキスト型データを扱う。しかし国内ではこうしたデータを計量的に分析する方法についての研究が進んでいない。そのため、大量のデータが得られた場合でも、従来はその分析が事例的な解釈にとどまることが多かった。そこで内容分析(content analysis)の方法に依拠しつつ、計量的手法の利点を活かした方法「計量テキスト分析」を提案した。(2)こうした分析を行うには適切なコンピュータ利用が不可欠である。しかし従来は、研究者が自らソフトウェアを開発するか、あるいは高価な市販のテキストマイニング・ソフトウェアを援用する必要があった。そこで計量テキスト分析のためのフリーソフトウェア「KH Coder」を開発・頒布するとともに、本書ではKH Coderを用いて分析を実践する具体的な手順についても提示した。(3)方法とソフトウェアを紹介するためだけの簡易な分析例だけでなく、完結した研究事例を提示した。紹介的な分析だけでなく、実質的な社会学的研究課題に答える分析を積み重ねることで、方法とソフトウェアの有効性を示すことを試みた。 第2に、別途発表の論文において、社会調査に多用されている質問紙調査では、通常の質問項目の統計解析に加えて、自由記述の計量テキスト分析を行うことで、相乗的に知見が深まることを示した。 第3に分析用ソフトウェアKH Coderについても、ヒートマップ作成機能を加えるなど、機能向上を行った。
|