2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730505
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
丸山 里美 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (20584098)
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Keywords | 貧困 / ジェンダー / NPO / ホームレス |
Research Abstract |
現代的貧困の諸相を明らかにすること、また貧困の現れ方がジェンダーによってどのように異なるのかを明らかにすることを目的として、東京において貧困支援をしているNPO法人自立生活サポートセンターもやいを、2004年から2011年まで相談に訪れた人の相談票2305件の分析を行った。最終年度にあたる今年度は、3年間のまとめとして、約320ページにわたる『もやい生活相談データ分析報告書』を作成した。 もやい相談者は、野宿者が約4割を占めているが、それ以外のネットカフェ難民等の不安定居住者なども含んでおり、また若年層が3割、女性が1割と、この種の貧困関連調査にはない対象者の広がりを持つものであった。特徴的だったのは、若年層ほど家族間でのトラブルを抱えがちなこと、非正規雇用従事者が多いこと、精神状態が悪い、また女性は男性と比べて、精神状態が悪い人が多いこと、住居や所持金のあるうちに相談に来る傾向があること、相談後すぐに問題解決につながりにくいことなどがわかった。このことから、家庭のなかに隠れているという女性の貧困の特徴の一端を把握することにもなった。また、繰り返し公的支援につながっては切れているリピーター層が3割程度いること、その背景には施設での人間関係やトラブルが大きな要因としてあることも明らかになった。 この分析にもとづく成果としては、報告書以外に、『とっちらかりの10年間』(岩波書店、2012年)やもやいHPにおいて、調査結果を公開している。
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