2011 Fiscal Year Research-status Report
戦争における表象と広告文化に関する歴史社会学的研究
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23730509
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
石田 あゆう 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (70411296)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 戦争 / 広告 / 女性 / イメージ |
Research Abstract |
当時の化粧品取引に関する資料調査およびその収集をすすめながら、当該業界とその広告媒体としての婦人雑誌メディアとの関係性についての考察を行っている。しかし、平成23年度は、本研究の一次資料収集のための出張が、当初の予定よりも実行できなかったため、平成24年度の予定に加え、さらに追加で実施する予定である。 研究成果としては、「女性イメージの変容」および「敵のイメージ」(野上元、福間良明編『戦争社会学ブックガイド:現代世界を読み解く132冊』創元社、2012年所収)を執筆した。「女性イメージの変容」については、若桑みどり『戦争がつくる女性像:第二次世界大戦下の日本女性動員の視覚的プロパガンダ』の精読を通じ、女性の戦争参加とメディアに関わる先行研究の位置づけを再考した。女性の戦争参加を促すメディアの戦争責任として、特に当時の女性雑誌が問題視されてきたが、女性読者は、つまりは雑誌広告の受け手としての消費者なのであり、その購買行動の能動性を踏まえた上で、今後の研究を進める予定である。 また、「敵のイメージ」では、ジョン・W・ダワー『容赦なき戦争:太平洋戦争における人種差別』、サム・キーン『敵の顔:憎悪と戦争の心理学』をはじめとする、戦争に利用されるイメージについて考察した。本研究では、政治的意図が明白な「プロパガンダ」映像に焦点をあてた、一連のイメージ研究の成果をふまえつつ、さらに当時の人びとの生活のなかに入り込んでいた商業広告と戦争宣伝との関係性について検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
家庭の事情により、平成23年度は資料調査および資料収集のための出張が実行できなかったため、当初の予定よりも、本研究はやや遅れている。平成24年度の予定に加え、さらに追加で実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当時広告メディアとして大きな影響力をもった新聞をはじめ、その大量の発行部数から広告メディア化した大衆向け雑誌を一次資料として、広く調査・閲覧を行っている。 とくに関連の雑誌メディア、広告年鑑といった資料を多く所蔵する大学図書館や、また大衆雑誌の資料の蓄積がある広告図書館、お茶の水図書館、大宅壮一文庫といった民間の図書館での資料収集を進めていく。 広告という「フローなメディア」を扱うことから、近年大衆的メディアの復刻が相次いでいるとはいえ、どうしても大学図書館での資料収集だけではなく、美術館・博物館で行われることが近年多くなった明治・大正・昭和初期の広告に関する展覧会にも足を運ぶ。 さらに継続して、古書店での資料発掘を併せて行うが、各企業の現存する社史をはじめ、当時の企業や業界の年鑑および商報や、広告をめぐる当時の証言についての幅広い資料収集を行いながら、広告主側のおかれた戦時の社会的状況の解明に努め、広告消費文化の観点から当時の社会状況を再現、実証的に明らかにすることを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は、本研究の一次資料収集のための出張が、当初の予定よりも実行できなかったため、そのための旅費を平成24年度に繰り越すこととした。 また、研究最終年度の平成25年度において、大学側より半期の国内研修期間が与えられることとなったため、研究費用を予定よりも増額している。
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Research Products
(1 results)