2012 Fiscal Year Research-status Report
慢性疾患患者を対象としたピアサポートの提供者の技術形成と支援に関する研究
Project/Area Number |
23730515
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米倉 佑貴 東京大学, 社会科学研究所, 助教 (50583845)
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Keywords | ピアサポート / セルフヘルプグループ / 慢性疾患 |
Research Abstract |
本研究では,保健医療領域,特に慢性疾患患者のケアのためのピアサポート活動において,(1)ピアサポーターがサポートを提供する上での困難およびその困難を解決するための支援ニーズを明らかにすること,(2)ピアサポーターの技術の習熟プロセスおよび習熟に影響を与える訓練内容を明らかにすることを目的としている. 平成24年度は国内のピアサポート提供団体の管理者1名およびピアサポーター10名に対する面接調査を行った. ピアサポート提供団体の管理者への面接調査においては,ピアサポーターの技術形成や活動支援のために行なっている活動として,定期的な研修やメーリングリストによるサポート,電話によるサポート,マニュアル作成による標準化等が挙げられた.また,ピアサポート提供活動の今後の課題としては,他団体のとの連携や活動資金の安定的な確保,人材の安定的な確保が挙げられていた. ピアサポーターに対する面接調査では,ピアサポート活動を続ける中での困難として,正規の活動時間以外でも相談に応じなければならなくなることや,一緒に活動をするメンバーが少なく,一人一人の負担が大きくなる傾向があること,仕事や家庭との時間配分が難しいこと等が挙げられた.こうした困難の解決のためには,一緒に活動をするメンバーを増やし負担を減らすこと,活動中に困ったことを相談できる人の存在やピアサポート従事者同士の交流会が必要であることが語られた.また,ピアサポート技術を身につける方法としては,一緒に活動をしている先輩ピアサポート従事者からの学びの影響が大きく,ピアサポート活動に慣れていない間は熟練した者とペアを組んで活動をしていくことの重要性が語られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では平成24年度に質問紙調査を実施することとなっていた.しかしながら,フィールドとの調整が難航し,調査の対象者の確保ができず,調査を実施することができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は面接調査結果のまとめおよび公表をを行う. また,平成24年度に実施できなかった質問紙調査を速やかに実施する.調査の実施方法は当初の計画と同様である.調査は郵送自記式質問紙調査にて行う.対象とするピアサポーターおよび組織のリクルートは,インタビュー調査で協力を得られた組織を通じて行う機縁ルートと,全国のピアサポート事業提供組織リストから無作為に抽出し,協力を依頼するルートの2ルートで行う.対象者数はピアサポーター500名,ピアサポート事業提供組織100団体を目標とする.調査項目はピアサポーターに対しては,背景情報として人口学的特性,社会経済学的特性,疾患特性,ピアサポート活動を始めてからの期間,提供しているサポート事業の概要についての情報を得る.そして,困難や支援ニーズの分布を明らかにするため,インタビュー調査で明らかになった困難や支援ニーズを類型化し,その中から選択してもらう.また,ピアサポーターとしての技術やその習熟プロセスとサポーターとしての経験や訓練内容をインタビュー調査を通じて類型化したものを選択してもらう.ピアサポート提供事業者については背景情報としてその組織が提供している事業の概要,人員配置等の組織体制についての情報を得たうえで,ピアサポーターの活動を支援するためにどのような活動を行っているか,ピアサポーターを育成するためにどのような活動を行っているか,ピアサポーターの支援・育成を行っていく上でその組織ではどのようなことが課題となっているかについてインタビュー調査を通じて類型化したものから選択してもらい回答を得る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
面接調査結果の報告書の作成,配布および学会での報告を行う. 質問紙調査は当初計画のとおりに使用し,調査を実施する.具体的には質問紙の印刷費用,郵送費用,データ入力作業の謝金を支出する予定である. これらの費用は前年度からの繰越分および平成25年度の交付分により賄う.
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