2011 Fiscal Year Research-status Report
ホームレス・生活困窮者の包括的支援に向けた政策枠組みの検討および理論的分析の展開
Project/Area Number |
23730522
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
垣田 裕介 大分大学, 福祉社会科学研究科, 准教授 (20381030)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 貧困 / 社会的排除 / 差別 / ホームレス |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本のホームレス・生活困窮者支援において求められる支援の内容や課題をふまえて、包括的支援に向けた政策枠組みの検討および理論的分析の展開を行うことにある。今年度に行った研究を整理すると、次のとおりである。 第1に、平成24年に期限を迎えるホームレス自立支援法の改正等に向けた政策論議の活発化を想定して、野宿生活者のみに留まらない広義のホームレスの実態および支援策のありようについて、全国レベルの調査結果の分析を行った。 第2に、平成22年度に開始された内閣府のパーソナル・サポート・サービス事業に着目し、企画運営に携わってきた福岡市でのモデル事業(「福岡絆プロジェクト」)を対象としたケース分析および評価検証作業を行うとともに、全国のモデル事業の特徴や動向について分析を行った。 第3に、本研究に関連する最新の政策動向を把握する目的で、厚生労働省で開催された生活保護改正関連会議の傍聴を行った。 第4に、生活困窮者に対する包括的支援のあり方を検討するうえで、東日本大震災の復興支援現場での活動を参考にすべく、現地の視察や支援スタッフを対象としたインタビューを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」および「研究実施計画」にてらして、今年度の計画はおおむね順調に進展しているといえる。 その理由としてあげられるのは、本研究の主な柱として位置づけている、ホームレスの実態・支援策の最新動向の分析、そしてパーソナル・サポート・サービス事業のケース分析および評価検証作業が、それぞれ順調に進み、いずれも研究成果を発表することができたことである。
|
Strategy for Future Research Activity |
特に平成24年度は、8月にホームレス自立支援法が期限を迎えるため、報じられているような期限5年単純延長を想定しつつ、今後のホームレス・生活困窮者支援に求められる政策枠組みや支援課題について、さらに分析を進めたい。 おりしも政府が「生活支援戦略」の構想に向けて動き始めたところである。生活保護改正論議も含めて、このような政策動向を視野に入れつつ、今後の研究を進めていきたい。 さらに、平成23年度に別の研究プロジェクトで行った、イギリスの社会的企業のインタビュー調査の成果やコネクションもふまえて、24年度は研究実施計画に記載したように、イギリスにおけるホームレス・生活困窮者支援の動向についても調査を行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費について、国内外の動向をサーベイするために、和書・洋書を購入する。さらに、平成23年度に購入予定としていたパソコンを購入する予定である。 旅費について、国内では各地域の支援現場の調査や学会出張等に使用するほか、上記のとおりイギリスでの調査の費用に充てる。
|