2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23730535
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Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
安部 信行 八戸工業大学, 感性デザイン学部, 講師 (30433478)
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Keywords | 視覚障害者 / 聴覚 / 錯誤 / 音響 / 歩行 / 環境 |
Research Abstract |
本年度は、実験室における聴感実験を主に実施した。実験空間としては、本学の既存の設備である簡易型無響室(無響空間)を使用した。無響室内に8chのスピーカーを被験者の周りを取り囲むように円状に設置し、中心に被験者が座ってもらう形で聴感実験を行った。スピーカーから音源のスピーカーの距離を約1.9mとして、8chの各スピーカーより、音をランダムに発生させて、発生した音源の方向を手で示してもらう手法で実施した。本年度は、昨年度行った実験における1,000Hzの音源を利用した聴感実験と、人間にとって最も感度が良いとされる4,000Hzの音源、更に全周波数帯域が発生するホワイトノイズを音源として、18歳~22歳までの晴眼者30名(男15名、女15名)を対象として実験を行った。実験全体の結果としては、ホワイトノイズを音源としたときの各方向における正答率は90%程度であるのに対して、昨年度同様、1,000Hz音源のときには正面に関しては40%程度の正答率であった。また、4,000Hz音源の際にも正面、真後ろの際には40~60%の正答率と低い結果となっていた。更に、男女別に分析してみると、4,000Hz音源の際に、正面に関する正答率は男性が平均約70%の正答率であるのに対して、女性は約50%と男女間にも正答率の差があることが分かった。このメカニズムについても次年度に詳細を調査する必要があり、聴覚錯誤の更なるメカニズム解明に向けて研究を進めていく。 また、本研究は視覚障害者の安全単独歩行の実現も目的の一つであることから、歩行訓練等の整備も含めた研究調査が必要不可欠であることが、研究を進めていく上で明らかとなった。このことから、聴覚サイン等についても国内外の事例について、国内の研究者を中心に協力を得ながら調査を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、様々な音環境の変化によってどのような条件で錯誤が起きるのかを明らかにすること等、聴覚錯誤のメカニズムを解明していくことにある。 昨年度は、移動音源による聴感実験が計画通り実施できなかったことから、繰越申請に至ったが、本年度は固定音源においても男女間に差があることが明らかとなったこと、数種類の音源を利用して聴感実験を行った結果、音源間にも差がみられることが明らかとなり、固定音源に関する実験の結果からも、研究全体として考慮すればおおむね順調に進展しているといえる。 また、「研究実績の概要」でも述べた通り、歩行訓練の整備に向けた研究調査も必要であり、その調査も国内の研究者の協力により進めているので、おおむね順調に研究活動が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、聴感実験としては3種の音源を利用した実験室における聴感実験を晴眼者を中心として行ってきた。計画では視覚障害者による聴感実験を実施することになっていることから、今後は視覚障害者による聴感実験を進める予定である。 また、「研究実績の概要」や「現在までの達成度」にもあるように、歩行訓練の整備に向けた研究調査も必要であることから、国内外も含めて聴覚に関する訓練等、調査を進める予定である。それらに関しては北欧における現地調査が必要になる場合もある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
聴感実験に関しては、固定音源に関する実験結果を受けて、移動音源に関する聴感実験を実施する予定であったが、固定音源の聴感実験に使用した音源が1種類のみと実験結果の信頼性が低いことから、音源を3種類とし、更に被験者数を増やして実験結果の信頼性を高めるために研究計画を変更した。そのため、移動音源に関する聴感実験及び視覚障害者を対象とした聴感実験は次年度に実施することとなった。 移動音源に関する聴感実験と視覚障害者による聴感実験を中心に行う。 歩行訓練の整備に関する国内外の調査を実施する。
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