2012 Fiscal Year Annual Research Report
「限界コミュニティ」における小地域福祉活動実践に関する実証的研究
Project/Area Number |
23730539
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
菅野 道生 岩手県立大学, 社会福祉学部, 講師 (00582008)
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Keywords | 限界コミュニティ / 小地域福祉活動 / 公営集合住宅 / 住民福祉活動 |
Research Abstract |
本研究では、都市部において極端な高齢化が進展する地域、「限界コミュニティ」における小地域福祉活動の推進をめぐる課題について、現在地域で取り組まれている住民福祉活動の現状と課題を探ることを通じて探究することを研究の目的とした。具体的には、①都市において「限界コミュニティ」の特徴がみられる地域がどのような実態にあるかを、東京都内の公営集合住宅の入居者データを通じて検証し、②東京都新宿区、北海道札幌市、福岡県福岡市、福岡県北九州市の各地域における小地域福祉活動の取り組み状況、その現状と課題をヒアリング調査によって探った。 入居者データの分析結果からは、都市部の公営集合住宅における著しい高齢化の進展状況が、データによって裏付けられた。ひとり暮らし高齢者、高齢者のみの2人暮らし、およびどちらかが高齢者の2人世帯といった社会的孤立や介護を中心に、生活上のリスクを抱えやすい世帯が公営集合住宅では入居者の半数以上を占めていた。 ヒアリング調査からは、各集合住宅に共通する住民生活及び地域の課題として、 ①建物の老朽化、ないしは老朽化による立て替えの実施または計画、②住民の高齢化と世帯規模の縮小(単身世帯、夫婦のみ世帯)③外国籍住民の増加、④母子世帯の増加、⑤介護・福祉ニーズを持つ世帯の増加、⑥住民自治組織の担い手の高齢化・固定化、等の課題が明らかとなった。 また小地域福祉活動の状況からは①従来から地区内での活動を継続してきているパターン、②集合住宅内の昔からの住民同士のつながりを軸に、福祉活動を新たに組織化したパターン、③NPOや学生団体など外部の活動を地区内に受け入れ、それをテコに従来の住民組織の活動を活性化させているパターンが抽出された。 こうした類型をもとに、地域特性に合わせた活動の推進をプランニングしていくことが今後の高齢化コミュニティにおける住民福祉活動展開の基本的視点となると思われる。
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Research Products
(5 results)