2013 Fiscal Year Annual Research Report
利用者の・支援者による・当事者のための「福祉ライフログシステム」の実証研究
Project/Area Number |
23730542
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
柴田 邦臣 大妻女子大学, 社会情報学部, 准教授 (00383521)
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Keywords | 高齢者 / 障害者 / ライフログ / 社会学 |
Research Abstract |
日本の福祉現場は、「書類にはじまり書類に終わる」とまで言われ、その硬直化が問題とされてきた。本研究は、介護・療養記録、 そしてそれらが無い高齢者や障害児といった当事者に対しては、介護のさいの会話などといった、“支援者のための記録”を、高齢者 や障害者が自らの生活向上と、主体性の源泉としうるような「ライフログ」へと転換していく情報システムの構想と試験的実証を目標 としている。 本年度は、特に3つの点で、本研究をまとめあげる成果を得た。まず、試作した「ライフログ」のシステムを高齢の方や、障害のある子どもに利用してもらい、その運用と評価をおこなった。システムの開発は検討を進め、実際の会話を音声認識などをつかってライフログというかたちで記録し、それをピクトなどスキャンで取り込んだ映像と結びつけ、イメージを大事にわかりやすくする出力をおこなった。その結果は比較的好評で、概要を報告した柴田(2013)は第88回情報処理学会・グループウェアとネットワークサービス研究会にて優秀発表賞を受賞することができた。 一方、 日本の福祉社会の現代性、社会構造そのものは、2011年3月11日に大きく変容した。本研究では、東日本大震災の特徴である被災地 の高齢化・過疎化を、社会問題として正面からとらえ、高齢化する被災地において、情報技術の活用というかたちで作成したシステムの試用をおこなった。その成果の概要は、各種学会報告や論文での報告とともに、柴田ほか(2014)を著作として上梓するなどして、結実している。 さらに、目標としていた国際的な成果発信も順調に進み、国際学会にて報告(Shibata 2013)されたほか、2014年5月にアメリカで開催された国際会議でも報告し評価をうけるなど、最終年度にふさわしい成果を残すことができた。
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