2013 Fiscal Year Annual Research Report
中山間地域および離島における基礎自治体の地域包括ケアシステムの構築に関する研究
Project/Area Number |
23730552
|
Research Institution | Health Science University |
Principal Investigator |
川村 岳人 健康科学大学, 健康科学部, 講師 (30460405)
|
Keywords | 地域包括ケアシステム / 離島 / 中山間地域 |
Research Abstract |
本研究では,中山間地域や離島において地域包括ケアシステムを構築するために基礎自治体が取り組むべき課題を明らかにするため,複数の地域におけるフィールドワークの結果をもとに,主に以下の3点について考察した。 第一に,地域生活支援において基礎自治体が果たしている役割を明らかにするため,特に基礎自治体と地域住民との関係性に着目した。分析の結果,人称性が高く,かつ,制度の対象とならなくなった後も関係が継続するなど,一度築かれた関係はその後も維持される傾向があることが確認された。一方,何らかの理由によって地域コミュニティとの接触を避ける住民は,基礎自治体との関わりも同様に拒む傾向がみられた。 第二に,中山間地域および離島の地域特性が地域包括ケアシステムの構築にもたらす影響についてである。小規模町村の特性として,組織内部の意思決定や職員の自由裁量の度合いに有利性がみられた。一方,民間事業者の参入が乏しいため,基礎自治体および社会福祉協議会は中長期的な視点に立って地域支援を行うことよりも,地域住民の生活課題への個別的な対応に優先的に取り組まざるを得ないという課題も確認された。 第三に,公私協働に基づく地域包括ケアシステムの構築・強化を展望するため,地域包括ケアシステムの発見機能に着目し,社会的孤立に陥っている地域住民の発見に焦点を当てて考察した。職住近接や日常生活圏が限定的であるために地域コミュニティ内での人間関係が濃密になり、地域住民の生活課題が顕在化しやすい一方で,昼夜逆転した生活を送る住民や自治会に加入していない住民など,地域の慣習に適合しない生活を送る住民は,地縁ネットワークから漏れたり,地域コミュニティから排除されたりする傾向にあるため,公的機関による介入の必要性が示唆された。
|