2011 Fiscal Year Research-status Report
協力関係の形成方略とその心理・認知的基盤の体系的検討
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23730573
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
品田 瑞穂 北海道大学, 社会科学実験研究センター, 助教 (70578757)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 協力行動 / 対人認知の正確さ / 利他性検知 |
Research Abstract |
本研究の目的は、相互協力関係の形成方略の違いから、対人認知の正確さに関する体系的検討を行うことである。本研究では、他者が機会主義的にふるまう危険性がある状況で協力関係を形成する際の方略を、次の2種類に大別する。1つは信賞必罰のルールを用いる集団的解決であり、もう1つは他者の信頼性を見きわめる能力を身につけることによって協力的な他者を選別する個人的解決である。本研究では、1)これらの協力関係の形成方略のそれぞれに適した対人認知が存在し、2)これまでの対人認知の正確さを測定する課題を、協力関係の形成方略という観点から整理し、3)2種類の方略の使い分けを規定する要因の検討を行う。 以上の目的のため、平成23年度には(1)集団的解決に必要な対人認知の正確さを測定する課題の作成、(2)課題間の一貫性の検討の準備を行った。まず、集団的解決を用いる傾向を測定する尺度を作成し、信頼性と内的妥当性を検討する予備調査を行った。予備調査の結果、十分な内的妥当性が得られたため、実際の行動(集団内において協力を達成するために罰のルールを用いるかどうかを決定するジレンマゲームにおける意思決定)を測定する実験を実施し、行動指標との関連を検討した。また、(2)の課題間の一貫性の検討の準備のため、集団的解決に必要な対人認知の正確さを測定する課題と、個人的解決に必要な対人認知の正確さを測定する課題を作成し、内的妥当性を検討する予備調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた質問紙調査と実験はおおむね達成されている。計画においてインターネット調査を実施する予定であったが、項目数が多いため実験室における調査を実施した。これは当初の計画において想定済みの事項であり、また実験室調査において十分な参加者が確保できたため、研究計画全体に大きな影響を及ぼしていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度においては研究2・3を実施するが、以下の2点の変更を行う。まず、既存の対人認知課題としてDANVA-2またはMSCEITを用いることを計画していたが、文化の影響を受けやすい課題であるため、EYES TASK等のより単純な認知課題を用いるとともに、独自に日本人の顔画像を用いて課題を作成するといった対応策をとる。また研究代表者の所属機関の変更に伴い、当初計画にあった北海道大学社会科学実験研究センターでの参加者の一斉募集が困難になったため、同センターや異動先(東京大学)、インターネットパネルなど複数の方法によって参加者を募集することによって対応する。また本年度はこれまでの結果を分析し、論文執筆・投稿を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は上述の推進方策に沿って,大学でのデータ収集,およびインターネットパネル調査など複数の方法でデータ収集を行うため,研究費の主たる部分はデータ収集に係る謝金および調査委託費に充当する.また代表者の所属機関異動に伴い,新たにコンピューターの設置,ソフトウェアの購入が必要となったため,研究費の一部をこれらに充当する.また今年度の研究成果の一部を学会において発表するための旅費,成果の論文投稿費として一部を使用することを計画している.また23年度に計画していた参加者数の一部が参加希望のキャンセルなどによりデータを収集しなかったため残額が発生している.したがってこれらの残額については今年度の参加者謝金として使用する予定である.
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