2011 Fiscal Year Research-status Report
対人的報酬・罰行動がネットワークや集団パフォーマンスにもたらす影響プロセスの解明
Project/Area Number |
23730583
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
相馬 敏彦 広島大学, 社会(科)学研究科, 准教授 (60412467)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 社会的動機 / ネットワーク / 同質性 / 異質性 / 対人関係 / 対人ストレス |
Research Abstract |
今年度は二つのデータの分析結果から以下の3点を明らかにした。 第一点は、大学生友人関係の変化をパネルデータによって測定した調査結果から、社会的動機づけのうち、接近的動機は同様の相互作用を促すことで関係からの評価に影響する一方、回避的動機は実際に回避的な相互作用が生じない場合にのみ関係への評価に影響し、いずれであってもそれぞれの動機が充足された場合に関係評価は高まることである。 第二点は、その背景として特有の感情体験が仲介している可能性があることである。具体的に回避的動機の充足による関係評価の高まりは、平穏感情が関わることが示唆された。 第三点は、大学新入生のネットワーク拡大を調査したパネルデータから、ネットワークに対する社会的動機づけの違いが、拡大されるネットワークの質との交互作用によって、拡大されたネットワークへの評価を左右する。すなわち、接近的動機が弱い場合異質性の高いネットワーク拡大には満足しないが、同質性の高いネットワーク拡大には満足する。他方、回避的動機が強い場合、異質性の高いネットワーク拡大にはストレス反応としての摩耗を強く感じるがが同質性の高いネットワーク拡大には摩耗をあまり感じない。 以上の結果より、従来の社会的動機づけ研究で不十分であった点のうち、社会情緒的な対人領域において動機がどのような対人的帰結をもたらすのかについて、実証的な知見を示すことができた。 これらの成果は、日本社会心理学会、日本グループ・ダイナミックス学会、日本心理学会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は社会情緒的な領域において成果をあげることができた。課題関連領域での課題につてもデータ収集は一部完了しており、今後解析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方策として、課題集団での実験研究もしくは集団調査を行う。また、情緒的な関係ペアを対象とするパネル調査を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度予定していた調査については、次年度に計画していたものと組み合わせて実施するため、主に人件費、謝金については次年度に合わせて用いる予定である。
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Research Products
(8 results)