2012 Fiscal Year Research-status Report
対人的報酬・罰行動がネットワークや集団パフォーマンスにもたらす影響プロセスの解明
Project/Area Number |
23730583
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
相馬 敏彦 広島大学, 社会(科)学研究科, 准教授 (60412467)
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Keywords | 社会的動機 / アクター・パートナー独立モデル / 同質性 / 異質性 / サポート / チームワーク |
Research Abstract |
今年度は主に以下の3点を明らかにした。 第一は、大学新入生の友人ペアを対象とするパネル調査の結果に基づくもので、社会的動機自体がどのような相互影響過程をもつのかを明らかにした。Actor-Partner Independentモデルを用いた解析の結果、二つの動機のうち、接近的動機については次のような二段階の影響過程のあることが示された。まず接近的動機がその相互作用の展開を促し、その結果として相手の接近的動機が高まるというプロセスである。 第二は、育児中の保護者を対象とする大規模調査の結果に基づくもので、どのような社会的ネットワークのありようがサポートとして機能するのかを明らかにした。結果、育児に問題を抱えていない場合には異質性の高さのみが多様な情報源としてサポーティブに機能するが、問題を抱えている場合には先の異質性の効果に加え、同質性の高さも愛着源としてサポーティブに機能することが示された。 第三は、医療スタッフ(医師、看護師、事務職)を対象とする大規模調査の結果に基づくもので、多職種間でのチームワークのあり方について検討した。結果、自他のバイアスを除いた上で現実にチームワークを遂行しているのは看護師だといえ、また、職場での他職種間チームワークに優れているほど個々人の職務満足も高いことが明らかとなった。リーダーシップの賞罰行動に上記の結果がどのように関わるのか、引き続き分析を進める。 以上のことから、今年度は社会情緒的な領域に加えて、課題的領域における対人環境についても検討を進めることができた。 なお、これらの成果の一部は、既に日本社会心理学会、日本グループ・ダイナミックス学会、産業・組織心理学会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査を用いる研究については順調に進めることができ想定していた成果をあげることができた。実験研究についても一部実施し、成果をまとめる途上であり、次年度公表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度を迎え、明らかにしたモデルのうち、これまでの研究で十分にフォローできなかった点について、実証的にアプローチする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度予定していた調査/実験については、これまでの成果を踏まえてより効率的にモデルを追究できるよう一部変更し、次年度に計画していたものとも組み合わせて実施する。このため、主に人件費、謝金については次年度に合わせて用いる予定である。
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Research Products
(9 results)