2012 Fiscal Year Annual Research Report
社会的感情の制御基盤としてのワーキングメモリキャパシティ
Project/Area Number |
23730586
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
吉田 綾乃 東北福祉大学, 総合福祉学部, 准教授 (10367576)
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Keywords | 感情制御 / ワーキングメモリ / 社会的認知 / プライミング / 精神的健康 |
Research Abstract |
適応的な社会生活を営む上で、感情を制御することは重要である。本研究の目的は、自己のおかれた状況を的確に把握し、自己をモニターしながら目標を遂行するために必要な注意の制御基盤をつかさどるワーキングメモリキャパシティの個人差が感情制御に及ぼす影響について明らかにすることである。近年、感情は意識的に制御するだけではなく、非意識的に制御することが可能であり、意識的な感情制御よりも非意識的な感情制御はコストや弊害が少ないことが報告されている。そこで、本年度はワーキングメモリキャパシティの個人差が意識的、非意識的な感情制御に及ぼす影響について検討した。 4回にわたりデータを収集した。まず始めに、オペレーションスパンテストを用いてワーキングメモリキャパシティを測定した。1か月後に感情制御を行う前の精神的健康状態を測定するために、質問紙調査を実施した。調査の2週間後に意識的、非意識的な感情制御を行う実験を行った。実験の2週間後に感情制御後の精神的健康状態を測定する質問紙調査を実施した。なお、実験では意識的感情制御条件、非意識的感情制御条件、統制条件を設定している。非意識的感情制御条件で使用するプライミング課題は予備調査を行い独自に作成した。分析の結果、意識的感情制御条件においてキャパシティ低群は高群よりも、第三者に対する怒りの表出を抑制することが困難であることが示された。キャパシティ低群は意識的な感情制御によって制御資源が枯渇する可能性が示唆された。また、キャパシティ低群は、統制条件よりも非意識的感情制御条件においてストレス反応としての怒り感情が低下する傾向が認められた。これらの結果を踏まえて、ワーキングメモリキャパシティの個人差が感情制御に及ぼす影響について制御資源の観点から考察を行った。
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Research Products
(6 results)