2012 Fiscal Year Research-status Report
大人の甘えと援助要請が個人・対人・集団に与える効果
Project/Area Number |
23730588
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
新谷 優 法政大学, グローバル教養学部, 准教授 (20511281)
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Keywords | 甘え / 対人関係 / 親しさ / コントロール感 / 援助 |
Research Abstract |
本研究の目的の一つは、甘えが、新入生の対人関係や適応にどのように影響するのかを明らかにすることである。当初の計画通り、平成24年度は、大学一年生が通年で履修するクラス2つを対象に、社会的ネットワーク縦断調査を実施した。入学時(4月)、一学期終了時(7月)、一年目終了時(1月)の計3回にわたり、本人の自己評価による甘えの度合、クラスメイト一人一人について、自分がその人に甘える度合と、自分がその人から甘えられる度合、及びその人との親しさを評定してもらった。また、個人の大学への適応度も測定した。A4用紙12ページからなる長い質問紙であったにもかかわらず、3回とも十分な回収率を達成できた。一つ目のクラスでの回収率は、4月で85%(20人中17人)、7月で89%(19人中17人)、1月で95%(19人中18人)であった。もう一方のクラスの回収率は、4月で74%(23人中17人)、7月で78%(23人中18人)、1月で81%(21人中17人)であった。3回の調査に全て回答した者が29名、2回の調査に回答した者が5名であった。集団内のダイナミックスを検討する上でも、対人関係の変化を検討する上でも、有意義なデータが得られたといえる。 また、次年度行う予定であったペア調査も、先に実施した。友人同士のペア57組に、どちらか一方がもう一方に甘えた出来事を特定してもらい、その状況での感情、親しさの認知、コントロール感、負担の度合などを評定してもらった。甘える人と甘えられる人双方の視点からデータを集めることで、甘え状況での評価の一致度や相補性について検討することができる。また、個人の認知のバイアスを相対化し、対人関係のプロセスを包括的に検討することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究は、当初の計画以上に進展している。平成24年度は社会的ネットワーク縦断調査を、平成25年度はペア調査を行う予定であったが、どちらも同年度に並行して行うことができた。調査はデータ入力が完了しているので、次年度はデータを分析し、その結果をもとに、必要であればデータの追加を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
社会的ネットワーク縦断調査とペア調査のデータ入力が完了しているので、次年度はその分析および論文執筆に充てる。特に社会的ネットワーク縦断調査は、データの構造が複雑なため、様々な分析が可能である。ラウンドロビンの分析、時系列の変化の分析、マルチレベルモデリングの分析を行う。ペア調査も同様に、多角的に分析を行い、仮説を検証するとともに、自由記述による甘えのエピソードの内容分析を行い、新たな仮説を立てるのに役立てる。結果は国内外の論文に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
謝金:ペア調査および実験の参加者40人分の謝金を計上する。1人1時間¥1,000(計40,000円)。リサーチアシスタントへの謝金は、時給1,200円で100時間分を支払う(計120,000円)。 論文の英文校閲費:50,000円 デスクトップパソコン:250,000円 書籍:100,000円
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Research Products
(3 results)