2013 Fiscal Year Annual Research Report
住民と行政との協働における進展プロセスの実証分析:受益性に着目して
Project/Area Number |
23730590
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
高橋 尚也 立正大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10581374)
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Keywords | 行政との協働 / チェックリスト / コミュニティ |
Research Abstract |
最終年度の目的は、協働の進展段階をチェックするチェックリスト案の作成と、回顧法形式で市民活動参加者に調査を行い、協働の進展段階に伴う意識変化を推定することであった。世田谷区に居住する600名を対象に、はじめに参加した地域活動の概要とそのときの地域活動への態度と、活動の継続状態、他の活動への拡張、現在の地域活動への態度を問う調査を実施し、50名から回答を得た。なお、この調査の実施にあたり、地域活動への態度は、協働における相互作用変化モデルにおける「相互未知」「支援関係」「相互自立」に沿うよう項目を作成した。 その結果、地域活動に対する態度の因子分析結果をみると、第1因子「地域未知」は髙橋(2008)の相互未知状態に、第2因子「協働」は支援関係にそれぞれ対応していた。第3因子「市民独自」は相互自立に対応しているとの解釈も可能であるが高橋(2008)の相互自立と異なり、行政の支援が得られず住民が活動せざるを得ないというニュアンスも含まれうる可能性も示唆された。参加経験・継続年数別および参加経験・活動の拡張の有無別の分析によれば、参加経験がある者ほど地域未知得点が低かったことから、協働における相互作用変化モデルのうち協働前から後への相互作用変化は確認され、地域活動経験者で近所づきあいや協働意図が高まっていたことから、同モデルにおける活動の進展に伴う社会的活動性の上昇についてもおおむね実証されたといえる。 以上の結果から、本研究において新たに作成した「地域活動への態度」の9項目をチェックリストとして用いることで、協働の進展段階のうち、協働の前段階とそれ以外の段階を弁別できることが提案された。限界として、協働の初期段階である「支援関係」と後期段階としてモデル化された「相互自立」に関しては、必ずしも連続的進展がなされない可能性も示唆され、複数地点で地域レベルの検証の必要性が指摘された。
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