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2012 Fiscal Year Research-status Report

量刑判断に影響する心理学的要因に関する研究 ―厳罰化の流れをふまえて―

Research Project

Project/Area Number 23730592
Research InstitutionKinjo Gakuin University

Principal Investigator

北折 充隆  金城学院大学, 人間科学部, 准教授 (30350961)

Keywords厳罰化 / 裁判 / ゲイン・ロス効果 / 社会規範 / 量刑判断
Research Abstract

2003年に政府は「世界一安全な国、日本」の復活を目指し、「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」を策定した。この中で、凶悪犯罪に関する罰則について法定刑・有期刑の上限が引上げられた。また2009年5月より、市民から無作為に選ばれた裁判員が、裁判官とともに裁判を行う裁判員制度が開始された。これは、市民が持つ日常感覚や常識を裁判に反映するとともに、国民の理解の増進と信頼の向上を図ることが目的とされる。
社会心理学的観点から、近年、裁判員制度に関する研究は徐々に進められてきているが、裁判におけるゲイン・ロス効果の影響はその俎上にすら載せられていない。Aronson & Linderによる、魅力度評定の実験に端を発するこの効果は、ただ褒めるよりも、初めに少し否定的な評価をし、後で好意的な評価をした方が評価が高くなるというものである。この枠組みは、あくまで対人評定に関するものであるが、量刑判断に至るまでの心証に拡大すれば、検察側陳述と弁護側主張の順序が、判決に影響を及ぼす可能性は否定できない。本プロジェクトは以上をふまえ、量刑判断を下す上で影響する心理的要因を、多面的に明らかにするものであった。
24年度は、前年度に実施した調査結果を改良する形で、再度シナリオを作成し、Web調査を実施した。具体的な問題として、被告に前科があるとしたことが、判決に影響したと考えられたため、その点を変更し、再度影響力について検討した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の計画として、裁判シナリオの作成を目標としていたが、裁判の傍聴などの起訴活動が十分とは言えない状況であった。その反面、結果を軽く予測する目的のため、作成したシナリオを用いてのWeb調査を実施することができた。
この二つを総合して、多少の遅れ・進み具合の相違はあるものの、おおむね計画通りに進展していると結論できる進捗状況であると判断した。

Strategy for Future Research Activity

前年度に得られた基礎データをもとに、さらに追加でWeb調査を実施する。本プロジェクトは、適切なサンプリングに基づくWeb調査が必要不可欠であり、信頼できる協力者を抱えた調査会社に依頼する。また、調査では明らかにできない細かい感情の変化や、量刑判断に至る思考プロセスを明らかにするため、裁判員を経験した人を対象とした面接を実施する。これにより、どういった要因に着目して量刑判断に至ったのか、社会復帰の遅れや結果として生じる負担の増大といった側面を考慮したか、もしも裁判中に聞かされていたら判断が変わったかなどを確認する。
後期は、危険運転致死傷罪に加え、窃盗や強盗など、様々な罪状に範囲を広げ、ゲイン・ロス効果の影響について検討する

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

Web調査、および裁判所の傍聴などが研究費用となる。またこれと平行して、学会発表などの成果報告にも、研究費を投入する予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2013 2012

All Journal Article (2 results) Presentation (3 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 治安意識に関する心理学的研究2013

    • Author(s)
      北折 充隆  小野寺 理江
    • Journal Title

      金城学院論集

      Volume: 10 Pages: 印刷中

  • [Journal Article] 電車内の迷惑行為に関する観察的検討 ―女性専用車両との比較―2012

    • Author(s)
      北折 充隆  小野寺 理江
    • Journal Title

      金城学院論集

      Volume: 9 Pages: 28-40.

  • [Presentation] ゲイン-ロス効果が量刑判断に及ぼす影響2012

    • Author(s)
      北折 充隆
    • Organizer
      日本社会心理学会
    • Place of Presentation
      筑波大学
    • Year and Date
      20121124-20121125
  • [Presentation] 裁判の流れを規定するゲイン・ロス効果について2012

    • Author(s)
      北折充隆・安藤玲子・大山小夜
    • Organizer
      日本犯罪心理学会
    • Place of Presentation
      立正大学
    • Year and Date
      20120916-20120917
  • [Presentation] 電車内の迷惑行為に関する観察的検討 ―女性専用車両との比較―2012

    • Author(s)
      北折 充隆             小野寺 理江
    • Organizer
      日本交通心理学会
    • Place of Presentation
      早稲田大学
    • Year and Date
      20120609-20120610
  • [Book] 自分で作る調査マニュアル2012

    • Author(s)
      北折 充隆
    • Total Pages
      184
    • Publisher
      ナカニシヤ出版

URL: 

Published: 2014-07-24  

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