2013 Fiscal Year Annual Research Report
環境デザインによるリスク行動の変容:行動抑制プライミングを応用したフィールド研究
Project/Area Number |
23730595
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
大友 章司 甲南女子大学, 人間科学部, 准教授 (80455815)
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Keywords | リスク心理学 / 環境配慮行動 / 行動変容 / 環境デザイン / 習慣 / 電力消費行動 / プライミング |
Research Abstract |
これまでの研究成果を発展させ、本年度は環境リスク行動の変容に向けたフィールド実験を実施した。個人の意志によらない非意図的な環境リスク行動を抑制するため、環境配慮をプライミングした刺激を導入することでリスク行動の抑制を図る実践的な研究に着手した。一連の研究の結果、プライミング刺激を提示することで電力を消費する環境リスク行動が抑制された。またこのプライミング刺激の効果は、非意図的な動機的プロセスの影響力が調整されることにより行動変容を生じさせる心理プロセスの変化に基づくことが明らかにされた。同様の研究は健康リスク行動にも応用し、ダイエットをプライミングした刺激を導入することで、日常の不健康な食品摂取行動の抑制されることが示唆された。さらに、その効果は非意図的な食品の摂取行動を生じさせる習慣の影響が変容したことにより生じたことが明らかにされた。これらの研究成果の一部は、2013年ドイツ環境心理学会や日本社会心理学会において口頭発表がされた。2014年度のヨーロッパ健康心理学会でも発表を予定している。 また、本研究期間中に、環境配慮行動のプロンプト刺激を環境に導入することで非意図的な行動から意図的な行動へと変容に導くフィールド実験の研究成果がまとめられ、Resources, Conservation and Recycling誌に掲載された(Ohtomo & Ohnuma, 2014)。さらに、東日本大震災後のリスク消費行動の研究についても本研究の枠組が応用され、状況に応じて意図的動機や非意図的動機が変化するだけなく現状維持バイアスといった新たな影響プロセスがあることが明らかにされた。この研究成果は心理学研究に掲載された(大友・広瀬, 2014)。以上、本研究計画により、人々の行動を左右する環境に対して働きかける“環境デザイン・アプローチ”の枠組の基盤を構築することができた。
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