2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730597
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
真島 理恵 熊本学園大学, 商学部, 講師 (30509162)
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Keywords | 社会的ジレンマ / サンクション / 罰 / 報酬 / 協力 / 社会心理学 |
Research Abstract |
本研究ではサンクションの適応的基盤の解明を目的とし、まず社会的ジレンマ(SD)における様々なタイプのサンクション従事者の評判を測定する一連の質問紙実験を行った。まず23年度には、個人的に行われる私的サンクションではサンクションの内容(罰・報酬)がサンクション従事者の評判を左右する一方で、成員が公的システムにお金を払ってサンクション実行を委託する「公的サンクション」従事者は、内容に関わらず良い評判を得ること―システムには、サンクションを正当化し従事者の評判を底上げする機能があること―を明らかにした。24年度には、システムが評判底上げ装置として機能する鍵が、人々がシステムの背後に暗黙に想定する「サンクションは皆から合意されたものだ」という合意認知にある可能性に注目し、合意認知がサンクション従事者の評判に与える影響を調べる質問紙実験を行った。しかし分析の結果、質問紙では合意認知を十分に操作できないことが明らかとなったため、25年度に、参加者自身がシステム導入に際しての合意形成に参加する集団実験を実施した。参加者は約20名1グループとなり、システムを導入したSDに参加した。サンクション内容とシステム導入時の合意の有無(投票で導入/強制導入)を操作した。結果、サンクション従事者の評判・SDの協力度・サンクション実行度のいずれにも合意の効果はみられなかった。これは、システムが有効に機能する上で、それが「民意に基づき導入された制度」であることはさほど重要ではないことを示す結果である。制度導入にあたり通常重視される公正な手続きを遵守するということの効果は、実は小さいという意外な可能性が示された。本研究は、私的/公的サンクションが異なる適応的基盤をもつことを明らかにしたとともに、社会制度に対する支持を引き出す要因として、制度の内容以外の要因をより精緻に検討することの重要性を指摘した。
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Research Products
(3 results)