2011 Fiscal Year Research-status Report
思春期の学校メンタルヘルスに及ぼす自尊感情とその安定性,随伴性自己価値の作用
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23730607
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
石津 憲一郎 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (40530142)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 自尊感情 / 自尊感情の安定性 |
Research Abstract |
本研究の目的は,中学生における自尊感情の安定性を測定し,思春期の子どもにおいてもその指標を用いることが可能か否かを検討することを目的とした。中学生を対象に,1週間毎日,Rosenberg自尊感情質問紙に回答を求めた。また,最終日には学校ストレッサー尺度への回答も求めた。1週間の自尊感情得点の平均値を個人の自尊感情得点とし,個人内標準偏差を自尊感情の安定性(変動性)の指標とした。なお,調査はおよそ2カ月の期間をあけて2回行われた(Time1およびTime2)。 まず自尊感情得点と変動性それぞれの再検査信頼性を算出したところ,自尊感情では高い相関が認められたが,変動性は低い相関しか認められず,自尊感情の変動性の再現性はそれほど高くないことが示された。続いて,自尊感情と変動性の単相関係数を算出した。その結果,T1,T2ともに自尊感情とその変動性には弱い負の相関が認められた。短期的に見た場合,自尊感情が高い者の方がその変動性は低い可能性が示された。 それでは,自尊感情と変動性の高低の組合せはT1とT2で変化がないのだろうか。自尊感情の高低と変動性の高低の組合せをクラスタ分析によって作成し,T1の組合せとT2の組合せをクロス集計表に分類した。分析の結果,T1で自尊感情も変動性も高かった群にいた者はT2では変動性が低い群に偏って分類され,T1で自尊感情が高く変動性が低い者は,T2では同じ群か,変動性が高い群に偏る傾向が見られた。つまり,安定性の高低にかかわらずT1の自尊感情が高い者はT2でも高いままであり,変動性のみが別のクラスタに偏る傾向があった。一方,T1で自尊感情が低い群で変動性が高い者も,変動性が低い者も,T2では同じ群に偏ることが示された。自尊感情が低い者は,2ヶ月の期間をおいても変動性が変化しにくいことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は当初計画通り研究を実行し,現在はより詳細なデータの分析を行っている。この結果は,平成24年度中に学会発表を行う予定である。また24年度の調査計画も予定通り進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度も中学生を対象としたアンケート調査を行う予定である。24年度では,自尊感情およびその変動性,随伴性自己価値が,およそ半年後のメンタルヘルスをどのように予測するかについて検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まずは,研究結果の発表お呼びに研究資料の収集のための旅費が必要となる。また,アンケート作成やデータ分析のための人件費にも研究費の一部を使用する予定である。その他,プリンタのトナーや分析ソフト,アンケート用紙の郵送費用にも研究費を用いる。
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Research Products
(10 results)