2012 Fiscal Year Research-status Report
思春期の学校メンタルヘルスに及ぼす自尊感情とその安定性,随伴性自己価値の作用
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23730607
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
石津 憲一郎 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (40530142)
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Keywords | 自尊感情 / 自尊感情の変動性 / 随伴性自己価値 / 学校ストレス |
Research Abstract |
研究は主に二つの目的で行われた。一つの目的は,H23年度の研究で示されたように,思春期における自尊感情の変動性の指標はが2か月後にも安定的な指標として用いることができるかを再検討することであった。また,自尊感情の高低と変動性の組み合わせと,アタッチメント,攻撃性の関連性を調べる事であった(研究1)。もう一つの目的は,随伴性自己価値とストレス反応の関連を調べる事であった(研究2)。 まず,研究1ではH23年度と同様に,1週間毎日,Rosenberg自尊感情得点への回答を求め,1週間分の自尊感情得点の平均値を自尊感情得点とし,個人内標準偏差を変動性の指標とした。調査は2か月の期間をあけて2回(Time1とTime2)行われた。その結果,H23年度の結果と同様に,T1とT2の変動性どうしの相関は弱い者であり,ある時期に変動性が高い者でも,常に変動しているわけではないことが示された。短期的に見た場合,自尊感情が高く変動性が低い者は安定的なアタッチメントに多いことが示された。また,自尊感情が低く変動性の高い者ほど,攻撃性が高まることが示された。 また,研究2では,研究1とは異なる調査協力者に2か月の期間をあけて2回,自尊感情,随伴性自己価値,学校ストレッサー,ストレス反応を調査した。T1だけのデータを用いた分析では,自尊感情も随伴性自己価値もストレス反応に影響を与えることが示されたが,T1とT2どちらのデータも用い,T1のストレス反応得点を統制すると,いずれの影響性も見られなくなった。ただし,随伴性自己価値が高い者が,ストレッサーに多くさらされた場合には,ストレス反応が高くなることも示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度の研究はH23年度の追試を含めて2回行われ,概ねデータの分析を終えることができた。この結果についてはH25年度の学会にて発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度についても予定通り,データの分析を進めていく。ここでは,高自尊感情者や随伴性自己価値の高い者の怒りの処理や怒り体験について検討していくことを目的としている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでの研究成果の発表及び,研究資料等の収集のために旅費が必要となる。また,アンケート作成や分析のための人件費,および,アンケート資料の郵送費にも研究費の一部を使用する予定である。
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Research Products
(10 results)