2011 Fiscal Year Research-status Report
不登校予防要支援児童生徒への学級状態に応じた学校活動状況を支援する方法の構築
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23730610
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
五十嵐 哲也 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (90458141)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 不登校傾向 / 登校義務感 |
Research Abstract |
本年度は研究課題全体の遂行の基礎となる「小中学生共通用・不登校傾向尺度」と,「小中学生共通用・登校義務感尺度」を作成することを目的とした。そのため,まず2011年5月~6月に養護教諭ならびに臨床心理士を対象に予備調査を実施し,各尺度項目案が作成された。その上で,2011年11月~12月に小中学生を対象とした本調査を実施した。 その結果,「小中学生共通用・不登校傾向尺度」は「全般的な登校意欲の喪失傾向」「享楽的活動の優先傾向」「心理的な不調傾向」の3因子構造であることが明らかとなった。信頼性は,十分な内的整合性を有していた。また,妥当性に関しては,基準連関妥当性ならびに内容的妥当性が検証された。ただし,確証的因子分析を実施したところ,中学生においては若干の適合性の低さが認められた。 また,「小中学生共通用・登校義務感尺度」は単一構造であることが明らかとなった。信頼性については,十分な内的整合性を有していた。また,妥当性に関しては,基準連関妥当性ならびに内容的妥当性が検証された。ただし確証的因子分析で,中学生において若干の適合性の低さが認められた。 以上より,若干の問題点は残されるものの,小中学生の不登校傾向ならびに登校義務感を測定し,その比較検討をする際に有用な尺度が作成された。このことは,(1)今まで作成されていなかった「学校に行かなければならない」という心理的傾向を測定することが可能となった,(2)今まで不可能であった小中学生の不登校傾向の比較検討が可能となった,(3)児童生徒自身が認知する「学校に行きたくない気持ち」(不登校傾向)のみならず,その認知がなく「学校に行かなければならない」(登校義務感)と感じ,その後急激に登校意欲を失う状況を把握することが可能となった,という成果を示す。よって本研究結果は,本研究課題の遂行のみならず,広く学校教育臨床の研究の進展に寄与するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に計画していた通り,本年度までに,「小中学生共通用・不登校傾向尺度」ならびに「小中学生共通用・登校義務感尺度」作成のため,小学生と中学生を対象とした予備調査と本調査が実施され,その検証までが実施済みである。そのため,本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果を用いて,今後は,(1)不登校予防の観点から要支援と考えられる児童生徒を特定する,(2)学習の側面から要支援タイプの理解と支援のポイントを明らかにする,(3)実際の学級での支援を(学級の特徴を踏まえて)実施し、追跡調査でその支援過程と効果検証を行う,という目的を達成するため,調査研究を継続する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度においては,データ入力補助等に係る謝金支払額が予定より少なくすんだことや,今年度分のデータ処理に要する分析には新規統計ソフトの購入が不要であったこと等により,残額が生じた。新規統計ソフトは次年度以降に必要な際に購入することとし,謝金も次年度以降の調査実施時のデータ入力補助において使用することが必要である。したがって,これらの費用を次年度請求額と合わせて計上し,使用する予定である。
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Research Products
(2 results)