2011 Fiscal Year Research-status Report
教示行為を軸とした自閉症教育の開発と評価:教えられるより教えたほうが賢くなる
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23730614
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
赤木 和重 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70402675)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 教示行為 / 自閉症スペクトラム障害 / 授業研究 |
Research Abstract |
本年度は,大きくは2つの研究を行った。1つは,小学校・特別支援学級における自閉症スペクトラム障害児2名を対象とした授業観察である。5月から7月にかけて週1回,計10回の授業観察を行った。その結果,自閉症スペクトラム障害児が,徐々に授業のなかで,教示者役になることが増加した。その背景には,教示者が,何を説明するかという形式が明確になっているとともに,聞き手役の子どもも,何を聞いて質問するのかが明確になっていることがあると示唆された。本研究の途中経過を,2012年3月に開催された発達心理学会で発表した。2つは,特別支援学校において,6名が参加する授業での経過を2か月間,12回にわたって観察した。対象児童は,発達的には1歳から4歳までの自閉症スペクトラム障害児,および知的障害児であった。当初は,児童間の相互交渉がみられにくく,教員からの指示が多い授業であった。しかし,経過を追うごとに,児童間の相互交渉が見られるようになった。とくに,発達的に3歳・4歳の児童は,他者に対して席に座るように伝えたり,または,他児ができないときに,やり方を教えるなど積極的教示行為がみられるようになった。その背景として,教師が開発した「キャリア協立板」と呼ばれる,児童同志の相互交渉を促す教具の存在が大きいことが示唆された。以上をもとに,次年度以降に,教示行為を軸とした教育実践の理論化を図る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
授業観察研究を今年度は2つ行うことによって,本研究の目的である教示行為を軸とした実践を発見・確認できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度,次年度は,実際に操作可能な実験的研究を行う必要があると考えている。そのため,定型発達児が属する保育園や,自閉症スペクトラム障害のある児童が在籍する特別支援学級に依頼し,内諾を得ている段階である。夏以降に,実験的研究を開始する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大きくは,3つにわかれて研究費を使用する予定である。1つは,研究遂行のために依頼している保育園や小学校に行くための旅費である。2つは,国内外の学会で成果発表するための旅費である。3つは,研究遂行に必要なビデオ機器や検査道具などを購入するための費用である。
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Research Products
(7 results)