2012 Fiscal Year Research-status Report
教示行為を軸とした自閉症教育の開発と評価:教えられるより教えたほうが賢くなる
Project/Area Number |
23730614
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
赤木 和重 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70402675)
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Keywords | 教示行為 / 自閉症スペクトラム障害 / 授業研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は,自閉症スペクトラム障害児(以下,自閉症児とする)が他児に教えることの教育方法の開発とその評価を行うことである。具体的には,小学校・特別支援学級に在籍する自閉症児が「出題者」役になったり,「説明者」役になる教育方法を開発・実施・評価を行う。 今年度は,主に自閉症児どうしの相互教示行為が展開する教育方法の開発について研究を行った。ある小学校の特別支援学級において,自閉症児を含めた障害児(合計6名)どうしの相互教示行為が展開する授業を観察した。その結果,(1)ほとんどの時間において全ての児童が教壇に立っていた,(2)児童同士での指名―被指名関係の成立が見られた,(3)児童が発問→別の児童が解答→発問した児童が評価,というサイクルが展開していた。以上の結果から,自閉症児を含めた児童どうしの相互教示行為が成立していた。 発達差・障害の違いがあるにもかかわらず,児童どうしにおいて相互教示行為が成立したことは大変興味深い結果といえる。このような授業が成立した背景としては,いくつかの理由が考えられるが,最大の要因は,「解答を知らなくても発問できる授業構造」の設計にあると思われる。そのため,知的に重度の子どもでも教えることが可能になった。次年度以降は,このような授業の結果,子どもにどのような効果があるのかを実証的に検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の一番のポイントである「自閉症児が他児童に教える」という教育方法の開発とその成立のポイントを解明できたことから,研究は順調であるといえる。ただ,一方で,開発された教育方法の評価については,まだ解明できていない。そのため,計画以上に進んでいるとは評価できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,新たに解明できた教育方法の評価について研究を進めていく。そのために,評価方法の基準をより明確に検討・確定し,そのうえで,実際に子どもたちにいくつかの課題を実施して,教育方法の評価を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用は,主に次の3点である。 1点目は,国際学会(アジア太平洋自閉症学会)への参加旅費である。 2点目は,研究実施のために,フィールド(小学校や特別支援学校)に行くための旅費である。 3点目は,分析のためのパソコンなど電子機器の購入費用である。
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Research Products
(9 results)