2011 Fiscal Year Research-status Report
関係論に基づいた学級適応の問題に対する教師への支援法の開発
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23730615
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
大久保 智生 香川大学, 教育学部, 准教授 (30432777)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 学級経営 / 教師 / 学級適応 / 小中学校 |
Research Abstract |
近年、学校や学級の荒れなどの児童や生徒の学級集団への適応の問題が多様化してきており、これまで教師が培ってきた学級経営の仕方では問題に対応しきれないということが数多く報告されている。こうした中、学級を担任する教師は、学級集団の雰囲気を踏まえたうえで、学級経営の仕方を柔軟に変えていくことが求められている。 近年の学校や学級の荒れなどの問題のように学級集団が機能不全に陥っている際には、学級集団の雰囲気などの特性に応じて学級経営のあり方を見直すことが求められる。つまり、児童や生徒の学級集団への適応の問題を収めるために学級集団の雰囲気などの特性を踏まえた柔軟な学級経営が求められるようになってきたといえる。したがって、近年の学級集団への問題を考えていくために、まず、教師の学級経営の柔軟性を測定し、どのような教師に学級経営の柔軟性があるのかを検討する必要がある。 そこで、23年度は、教師の学級経営の柔軟性を測定する新たな尺度を開発した。小学校教師104名と中学校教師44名の計148名が調査に参加した。 まず、作成した尺度に対して因子分析を行い、「教師の指導観を重視した経営」と「子ども集団の特性を重視した経営」の2因子を抽出した。次に、信頼性と妥当性について検討したところ、十分な信頼性と妥当性が確認された。そして、ベテラン教師の柔軟性の無さが指摘されているが、教師歴によって学級経営の柔軟性が異なるのかを検討したところ、「子ども集団の特性を重視した経営」において、ベテラン教師の得点が低いことが明らかとなった。 今後は作成された尺度を用いて、児童・生徒の学級適応との関連について検討する予定である。そして、教師の学級経営の柔軟性が児童・生徒の学級適応にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにする。加えて、学級がどのような雰囲気の場合に教師の学級経営の柔軟性が必要になるのかを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、中学校教師で100名以上の調査を予定していたが、実際は44名の教師が調査に参加したのみであった。しかし、分析には十分な数であり、特に大きな問題は起きなかった。多くの小中学校教師に24年度の調査協力を依頼し、快諾を得ていることからも、24年度は順調に研究が進展していくと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は教師とその教師が担任する学級の児童・生徒1600名を対象に質問紙調査を行い、教師の学級経営の柔軟性が児童・生徒の学級適応に及ぼす影響について検討する。 調査は、東京都、埼玉県、静岡県、香川県の小学校教師約20名と担任する学級の児童約800名と中学校教師約20名と担任する学級の生徒約800名を対象としたものを計画している。これまでにも教師とその担任する児童・生徒を対象とした調査を行っており、既にいくつかの学校長より内諾を得ている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度も、23年度に引き続き、質問紙による大規模なデータを採ることが中心となるため,結果の処理のために3~4名の補助者(心理学を専攻する大学院生)を予定している。また,その際のデータ入力と解析に必須となるPCと,高度な統計解析が可能なソフトなどを予め準備することが求められるため,これらへの経費が必要である。 24年度からは,前年度の研究成果を各種関連学会や研究会等で積極的に発表していき、また、シンポジウムの開催も積極的に行い、広く研究成果を公開していくため、これらへの経費が必要である。
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