2014 Fiscal Year Research-status Report
キャリア志向の女性における母親としての発達―「母性愛」信奉傾向との関連―
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23730616
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
江上 園子 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (10451452)
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Project Period (FY) |
2013-02-01 – 2019-03-31
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Keywords | 「母性愛」信奉傾向 / キャリア志向 / 親としての発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、8月より研究に従事できなかったことから、おもだった研究実績としては乏しい。しかしその中で、下記の2点の研究成果を出すことができた。 1点目は、昨年度にシンポジウムで行った、「母性愛」信奉傾向に対する揺らぎ、葛藤を抱える母親の実態とその要因について調べた紀要論文の執筆である。この論文では、インタビュー調査に協力を得た母親の母集団の中から、「母性愛」信奉について語らせる過程でとくにジェンダーベクトルの変容が見られる(見られた)母親について抽出し、変容の過程と要因にかかわる事例分析を行った。本プロジェクトの目的として、キャリア志向の母親が、子育てに従事する中でどのように変容するのか、または変容しないのか、自分のキャリア志向との間でどのように落とし所をつけるのかについて明らかにすることを挙げたが、本論文中で、第一子の出産という経験が、自分のキャリアと志向と「母性愛」信奉傾向とを決定づける変容の大きな機会であることが考えられた。また、葛藤を抱えたままの母親が、その葛藤を困難としてではなく、母親としての自然な感情のひとつとして抱えていく姿が推察された。 2点目は、母親の「母性愛」信奉傾向とキャリア志向についてのインタビュー調査を、妊娠期・出産後にわたって縦断研究として発展させていったことである。現在、データについてまだ完全にまとめられていないが、産前産後の縦断研究であるにもかかわらず、相当数の協力者を得て研究を進められたことは実績として挙げられよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
4カ月間の限られた研究期間とはいえ、本プロジェクトの二年目であることもあり、大規模な質問紙調査の準備を完遂しておきたかった。しかし、質問紙の尺度選定は終えつつも、調査協力園の選定までは行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究に復帰し次第、質問紙による大規模な縦断研究の準備を行い、調査を実施する。本年度、実施できなかった分の協力園の情報収集や協力者の獲得などに尽力する。また、面接調査の結果をまとめ、論文執筆を行う。
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Causes of Carryover |
申請者の産前・産後休業と育児休業のため、本年度は4月~7月末日の期間のみ、研究に従事していたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を再開し次第、大規模データの収集を開始する。そのため、新たな分析に耐えうるパソコン、プリンタ、ならびに統計ソフト、紙類などの消耗品の購入にあてる。同様に、多くのデータを扱うことから、研究補助者のための謝金も必要である。また、データ収集や学会発表に必要となる旅費も予定している。さらには、研究中断で生じた、先行研究や周辺領域の知見集積のブランクを取り戻すために多くの書籍の購入を計画している。
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Research Products
(2 results)