2012 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の知的活動と認知機能の低下防止との関連に関する老年神経心理学的研究
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23730620
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岩原 昭彦 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 准教授 (30353014)
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Keywords | 神経心理学 / 老年心理学 / 認知機能 / ライフスタイル / 認知症予防 |
Research Abstract |
名古屋大学医学部を中心とするコホート研究において、中高年者の知的活動の状況と認知機能との関連性について検討した。特に、中高年者の知的活動の程度や情報通信機器の使用状況が認知機能の維持に及ぼす影響ついて検証したところ、知的活動の頻度と記憶機能や実行機能の維持、および、情報通信機器の使用頻度と空間機能や注意機能の維持とには関連性があることが明らかにされた。さらに、情報通信機器をあえて使用しようとするような知的活動に関わることに対する動機づけの高さが、認知機能の低下を防止していることを明らかにした。動機づけの高さと認知機能とが関連していることを示したことは、認知の予備力仮説に関わる最新のモデルと合致するものであり、国際学会では大きな反響があった(Iwahara et al., 2012INS)。 また、認知機能ニ生活習慣との関連性について検証することを目的として、正常範囲内のIMTの個人差と認知機能との関連を詳細に検討した。和歌山県みなべ町の地域住民978名(平均年齢58.7±10.2歳、男性48%)を対象とした。IMTは超音波診断装置(パナソニック製GM-72P00A)を使用し、総頸動脈におけるmean-IMTを自動計測した。認知機能は、認知症スクリーニング検査(MMSE)および、注意検査、記憶検査、言語検査からなる神経心理学検査バッテリによって評価した。その結果、IMTの低い高齢者の認知機能が相対的に維持されていた。正常範囲内のIMTの変動因を詳細に検討することで、認知機能の低下防止に関わる新たな指標が開発されうる可能性が示唆された。本研究は、2012年に日本高血圧学会より優秀研究賞を受賞した。
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