2013 Fiscal Year Annual Research Report
大学生の「分かったつもり」を解消する支援:学校インターンシップを中心に
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23730621
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
田島 充士 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (30515630)
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Keywords | インターンシップ / 分かったつもり / 教員養成 / 大学教育 |
Research Abstract |
実践研究としては,これまでの研究成果を受け,学生が大学で学ぶ知識(「学問知」と呼ぶ)と,社会実践の現場で蓄積される知識(「実践知」と呼ぶ)との生産的な相互参照(「共創的越境」と呼ぶ)を行えるよう支援する学習プログラムの開発・実施を行った。また研究プロジェクトの最終年度でもあり,研究成果を国内外の研究者に向け発表した。 実践研究としては,学問知と実践知の相互参照の促進を目指した授業プログラムを開発し,申請者が担当する心理学講義(履修者10名程度)において実施した。この授業では,特定の教育テーマについて受講生自身が調べ,その内容を解説する,アクティブラーニングに沿った発表活動を設定した。この活動では,受講生自身が持つ実践知と心理学の学問知を結びつけて解釈する課題を設定し,発表者に対する質問も,その課題に沿ったものにするよう促進した。授業開始当初は,多くの受講生にとって学問知と実践知を接続した考察や質疑は困難であることが観察された。しかし履修者自身が両者の統合を行う主体にならなければならないという意識が浸透するに従い,共創的越境に沿った課題解釈や質疑応答が活発化するようになった。 成果発表としては,日本教育心理学会・国際ヴィゴツキー学会において学会発表を行った。また本研究プロジェクトの成果を活かし,大学教育のあり方を問う発展的な課題を扱ったものを含む,論文4点・著書3点を執筆・刊行した。 以上のように,学校インターンシップという特定の教育実践を対象にした研究から発展し,学問知と実践知の共創的越境を拓くという,大学教育全体の一般的課題に迫る実践的知見を得ることができたことは,今後,社会実践との接続性が問われる現代の高等教育のあり方について生産的提言を行えるという点で有意義だったと考える。
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Research Products
(12 results)