2011 Fiscal Year Research-status Report
幼児期の身振り表現の発達における形態・文脈・他者視点の影響
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23730625
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
大神 優子 和洋女子大学, 人間・社会学系, 講師 (40452031)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 身振り / 幼児 / 発達 |
Research Abstract |
本研究は、幼児期の発話に伴う身振り(gesture)、中でも、道具使用身振りについて、その発達的変化(主観的身振りから客観的身振りへ、手で道具の形や動きを代用するBPOから道具使用時の動きを再現したパントマイムへ)と、それに関わる要因を、道具の形態・道具使用文脈・他者視点の強調によって実験的に明らかにすることを目的としている。 初年度である今年度は、実験環境でのビデオカメラ使用に制限があったことから、今後の実験の統制要因となる言語発達の指標及び分析の検討を中心に行った。さらに、成人を対象とした予備実験をもとに、実験手続き及び課題についても検討した。 言語発達の指標として用いた絵画語い発達検査(PVT-R)並びに言語流ちょう性検査については、幼児を対象とした予備調査の結果、対象者の負担を考慮して課題及び分析方法を変更し、言語流ちょう性検査を中心とすることにした。分析方法は語数及び発語中の語いレベルによるものとし、次年度以降の本実験の指標とする年齢基準を作成中である。これをもとに本実験では対象児をいくつかの群に分けて分析することが可能になり、生活年齢だけではなく、認知発達に伴う変化をより詳細に捉えることができると考えられる。 成人を対象とした予備実験では、形態・文脈・他者視点の強調手続きについて検討した。その結果、教示及び手続き上の問題がいくつか明らかになり、それらを修正した上でさらに幼児を対象として予備実験を行った。特に年少児への教示になお課題があり、この一部については引き続き手続きを検討中である。一方、メインとなる身振り課題については安定した結果が予備実験でも得られており、次年度以降は予定していた課題及び分析方法が実施できる見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、前期に補足的な言語課題の検討及び実験手続きの確認のための予備実験を行い、後期に本実験を実施する予定であった。 このうち、言語課題は予備実験の結果、課題内容を変更することになり、予定していた分析方法を多少変更する必要が生じた。また、原発事故の影響で保育環境が制限されたため、幼稚園等でのビデオカメラを用いた実験が困難となり、幼児を対象とした本実験には至っていない。しかし一方で、次年度以降の成人を対象とした予備実験を前倒しで実施しており、来年度以降の進展にはそれほど影響はないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
分析方法の変更と幼稚園等での本実験が困難だったことに伴い、物品費・謝金(分析・実験補助)他を繰り越している。 今年度実施予定だった実験を次年度に実施するため、そのための物品費・謝金(分析・実験補助)他に使用する。なお、分析方法の変更に伴い、研究計画を修正する予定であるが、新たな分析方法については検討済みである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度実施予定であった実験と併せて、2つの実験を実施するために使用する以外は、概ね当初の予定通りに使用する見込みである。
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