2012 Fiscal Year Research-status Report
幼児期の身振り表現の発達における形態・文脈・他者視点の影響
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23730625
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
大神 優子 和洋女子大学, 人間・社会学系, 講師 (40452031)
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Keywords | 身振り / 幼児 / 発達 |
Research Abstract |
本研究は、幼児期の発話に伴う身振り(gesture)、中でも、道具使用身振りについて、その発達的変化(主観的身振りから客観的身振りへ、手で道具の形や動きを代用するBPOから道具使用時の動きを再現したパントマイムへ)と、それに関わる要因を、道具の形態・道具使用文脈・他者視点の強調によって実験的に明らかにすることを目的としている。 3年計画の2年目となる今年度は、昨年度行った言語課題の検討をもとに、全ての実験に共通する統制群の身振りの発達的変化について、言語発達からの分析を行った。その結果、BPOからの移行はほぼこの時期の言語発達に伴って生じるのに対し、主観的身振りからの移行はやや遅れ、年長児になってからの変化が顕著であることを明らかにした。これらの身振り視点の変化には、道具に関する経験や一定の言語発達だけではなく、対人的な能力の発達が必要である可能性がある。さらに他の能力の発達との関連を検討する必要があるが、今回の分析結果については論文として報告した。 また、言語課題については、絵画語い検査と語い流ちょう性課題の関連を別に分析しており、来年度の発表を予定している。 今年度はさらに、成人を対象とした予備実験の結果を踏まえて、幼児を対象とした本実験3種類に着手した。結果については順次分析を進めているが、実験手続きの確定・分析方法の検討は概ね終了している。対象月齢を当初計画よりもやや上にしたため、今後、年長児を中心に対象人数を増やしていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、昨年度行った言語課題の検討及び成人の予備実験の結果を踏まえて、幼児を対象とした本実験3種類のうち2種類を進める予定であった。昨年度の言語課題の改訂をもとに、幼児の3種類の実験に共通する統制群の分析を終了し、また、本実験についてもそれぞれ3種類の手続きで実験を開始した。対象年齢(月齢)を上げるために実験実施時期を年度後半に集中させ、また、途中で手続きを一部改訂したために現時点での対象人数は十分ではないが、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験の結果を受けて、当初の予定からやや対象年齢(月齢)をあげたたため、主な実験実施時期が年度後半に移行している。そのため、後半に行った実験の分析謝金等を繰り越している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度は、今年度補強した実験機材を用いて1カ所で複数の面接実験を展開し、同時進行で分析する。そのため、今年度に比べて謝金を多めに使用する予定だが、最終的には、概ね当初の予定通りに使用する見込みである。
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