2012 Fiscal Year Research-status Report
論理的な言語力を促進する言語活動の開発とその効果の検討
Project/Area Number |
23730628
|
Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
犬塚 美輪 大正大学, 人間学部, 講師 (50572880)
|
Keywords | 言語力 / 言語活動 / 説明活動 / 教育プログラム / 数学 / 国語 |
Research Abstract |
昨年度の文献レビューなどを通して,論理的言語力の育成という観点から,「説明」を軸とした言語活動が重要であり,特に,言語活動の定着・基盤づくりのための日常的実践が重要であることを指摘した。本年は,まず,以上の点について共著書籍の中で指摘した。これらの著書は次年度以降に出版予定である。 次に,本年度の目標は,新たに提案した言語活動を予備的に実施し,その実施上の問題点や具体的な運用方法を検討することであった。そこで,付箋型ノートを用いた授業実践については,横浜市の中学校教員と協同で,国語科を中心とした実践を予備的に実施した。埼玉県の小学校での実践も予定していたが,教員の異動などにより実施が遅れている。 また本年度は,習得型の授業における言語活動だけでなく,探求型の授業における言語活動にも注目した。具体的には,埼玉県の高等学校の数学科における「説明活動を軸とした探究活動」を対象とし,その成果の検討を行なった。 これらの予備的な実践を通して,各教員が自分の担当授業の中で実践する場合には,付箋型ノートなどのツールの受け入れや新たな言語活動への取り組みが大きな障害なく実践しうることが分かった。一方で,複数教員が関わったり,外部指導員の影響力が大きかったりする場合には,教員間での目標の共有や学習者の意識についての理解に差が生じやすく,実践が難しくなることが示唆された。 数学の探究的言語活動の成果については,次年度開催される国際学会(EARLI)での発表を申し込み,口頭発表として採択された。また,複数教員が関わる新たな指導の導入の困難については,教員のインタビューをまとめ,次年度の学会(教育心理学会総会)における発表を申し込んでいる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,論理的な言語力を促進する言語活動を開発し,その効果を検討することである。本年度の目標は,具体的な教育実践を予備的に実施し,実施上の問題点や困難を検討することであった。 本年度の研究活動では,埼玉県の小学校での実践の中心であった教員の異動などにより,実践の予備実施や検討が進まなかったところがある。一方で,新たに説明活動を軸とした探究活動について,数学の実践に関わり,その成果を検討することができた。計画がうまく進んでいないところもあるが,計画を超えて進行したところもあり,全体としては概ね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
H25年度は,24年度の成果をもとに,実際の教育現場における教育プログラムの実施を進める。実践協力校の学事日程から,中学校では2学期の実践を特に重点的に取り上げることを計画している。また,高校では数学科の探究型授業における実践を引き続き取り上げ,そこでの言語活動に関するより詳細な検討を計画している。 また,H25年度には,24年度までに得られた成果の発表にも力を入れる。国内外の学会での発表が決まっているほか,実践論文として投稿準備を進めている。また,より一般向けの成果発表のために,ホームページ上での情報発信を計画している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
教育プログラム実践を進めるに当たり,実践を実施する教員との打合せや従業の記録のため,協力校への出張旅費が必要である。実践で得られたデータを整理し,入力などの作業を補助する者が必要となるため,そのための謝金を併せて申請した。また,成果発表のため学会に参加するため,その旅費と学会参加費を申請している。そのほか。次年度は,一般向けの成果発表のためのホームページ作成などのための委託費用や,論文執筆のための文献および論文ダウンロードに係る費用も必要だと考えられるため,これらに係る費用も計上した。
|