2011 Fiscal Year Research-status Report
パピーウォーカー経験による心理的効果と介在教育プログラムの検討
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23730631
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
濱野 佐代子 帝京科学大学, こども学部, 准教授 (90413137)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | パピーウォーカー / 盲導犬 / 動物介在教育 / 動物介在活動 / ボランティア / 愛着 |
Research Abstract |
盲導犬育成のボランティアの中の一つに、パピーウォーカー(PW)のボランティアがある。PWとは、盲導犬候補の子犬(パピー)を盲導犬協会から委託され、約10ヶ月間にわたりパピーを家庭で育成するボランティアのことである。このPWは、盲導犬育成に貢献するだけではなく、パピーを受け入れる家族に多大な影響を与えると考えられる。本研究では、PW経験による心理的効果を検討する。この心理的効果の結果を踏まえて、盲導犬訓練の途中で盲導犬に適さないと判断されたキャリアチェンジ犬(CC犬)の有用性を検討し、CC犬介在教育プログラムを構築することが本研究の目的である。 本年度は、PW経験による心理的効果の分析による検討を行った。さらに、CC犬の介在動物の可能性の検討を行うために専門家チームを構成して2回のミーティングを行い聞き取り調査を行った。具体的には、PW家族を対象に行った面接調査の中で、PW経験による心理的効果に該当するプロトコルを抜き出し分析を行った。その結果、心理的効果については、パピー飼育から得られる快適さ、ストレス軽減の効果、家族を凝集させる効果が考えられた。また、PWを行うことが社会貢献につながっていると強く意識されていた。さらに、PW経験による心理的効果について明らかにするために、パピーへの愛着とペットへの愛着を比較した。その結果、パピー飼育の方がペット飼育よりも、社会との関係の広がりをより認識し、人と人との関係を促進する役割や家族をつなぐ役割を強く意識すると考えられた。また、パピー飼育の方がペット飼育よりも、養護する能力が身につくことが明らかにされた。以上の結果を基に、CC犬介在教育プログラムの検討に関するミーティングを専門家チームで行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パピーウォーカー経験による心理的効果の検討に関して順調に分析が進んでいる。その結果から、効果的に研究を遂行するために、本年度に行う予定だった質問紙調査を次年度に繰り越し、次年度に行う予定であった動物介在教育プログラム検討の専門家チームミーティングを本年度に行った。そうすることによって、心理的効果についてより詳細なデータを得ることに効果があり効果的に質問紙調査を行えると考えられた。したがって、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を効果的に推進するために、調査の順序を変更した部分もあるが、おおむね順調に進展している。次回の質問紙調査の対象である協力者の許可も得ている。したがって、予定どおり研究を進めていく次第である。次回の質問紙調査では、パピーウォーカー(PW)経験による心理的効果の尺度の作成を行う。 具体的には、23年度に行った分析結果から質問項目を抽出して質問紙を作成する。調査対象者は、公益財団法人日本盲導犬協会を通して、PW経験者の中で調査に協力してくれる家族を募集する。質問紙調査を実施して、心理統計分析を行い、パピーウォーカー経験による心理的効果の尺度の作成を行う。さらに、社会貢献やボランティアの意識に関する項目や、属性、社会的要因を変数として共分散構造分析を行い、PW経験による心理的効果モデルを検証する。 以上から、23年度と24年度の調査の結果をまとめて、キャリアチェンジ犬介在教育プログラムを構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
効果的に研究を遂行するために、本年度に行う予定だった質問紙調査を次年度に繰り越し、次年度に行う予定であった専門家チームの聞き取り調査を本年度に行った。したがって、データ分析に必要なパソコン機器や心理統計分析ソフトの購入を行う。また、データ分析補助者人件費、協力者謝金、旅費の一部が次年度の使用となる。24年度は、質問紙調査を実施するために、Web調査に必要な費用、郵送費や謝金、分析補助者の人件費を使用する予定である。また、本研究への知見を得るために、人と動物の関係に関する学会や心理関連の学会等の国内外の学会に参加するので、参加費用や旅費を使用する予定である。さらに、得られた結果をとりまとめ、関連学会にて成果発表を行うので、発表費用を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)