2012 Fiscal Year Research-status Report
中高年者におけるQOL向上とレジリエンス増進のための教育法の開発
Project/Area Number |
23730632
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
堀田 千絵 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 講師 (00548117)
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Keywords | レジリエンス / QOL / 未来イメージ / ポジティブ思考 / 生涯発達 / 認知機能 / 骨・筋運動機能 / 社会生活機能 |
Research Abstract |
「研究目的」:健康長寿を全うしている後期高齢者、すなわち超高齢者におけるQOLおよびレジリエンスと前頭葉機能、骨・筋運動系、社会生活機能等の特性との関連を明らかにし、それらの資料を、今後老年期を迎える中高年者の生活支援に役立て、高齢者のQOLとレジリエンス増進の一端を担う教育法を開発することにある。「今年度の研究実施計画と具体的内容」:レジリエンス増進のための参考資料を作成することであった。資料1として、優れた超高齢者における「過去の辛い境遇記憶を更新し自己の未来をポジティブに描くシミュレーション能力」の発達的特性を横断的に明らかにすることであった。超高齢者のうち女性後期高齢者のポジティブ未来思考は10年先も安定し、前頭葉機能、特に言語産出に関わる能力は高い一方で、男性中高年者の悲観的な未来思考とは劇的な違いが認められた。これらの成果は、査読付き論文 (e.g.,堀田・杉浦・八田, 2011) にて報告した。資料2として、レジリエンス構成要素についての研究レビューと予備調査を行い、レジリエンス測定尺度の開発を行った。これらの結果を国際学会や査読付き雑誌に投稿し(e.g., Hotta et al., 2012; 堀田ら, 2012) 、25年度の研究実施に向け、レジリエンス尺度の更なる信頼性・妥当性の検証を行い、中高年者の教育的介入の準備段階にある。「意義と重要性」:中高年者の過去の生活史と現在のQOLの状態を後方視的に評価する多くの先行研究とは違い、本研究は、安定的でポジティブな未来思考を有す超高齢者の発達的特性を実証的に示す数少ない前方視的研究である。これらの研究知見は、現在の中高年者、将来老年期を迎える人々にとっては貴重な資料であり、高齢者自身がポジティブに過去・現在・未来を統合することで後退することなく発達し続けることができることを意味している点で社会的意義は高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年、24年度は、25年度に実施する研究土台の構築、および研究資料の作成を行うことであった。これらの目的は、①「過去の辛い境遇記憶を更新し自己の未来をポジティブに描くシミュレーション能力」の発達的特性を横断的に明らかにすること、②これらの発達的特性の包括概念であり本研究が維持・増進させたいレジリエンスの測定ツールの材料の整備の2点によって達成された。③②によって積み上げられたレジリエンス測定ツールの開発を行った。①については超高齢者の安定型ポジティブイメージが明らかとなり(堀田他, 2012)、②についてはレジリエンス尺度を完成させ、24年度に実施したツールの信頼性・妥当性の検証を土台に、25年度の縦断的検討を実施可能な水準にまで至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は本事業の最終年度にあたり、研究の総括にあたる年である。23年度では、「過去の辛い境遇記憶を更新し自己の未来をポジティブに描くシミュレーション能力」の発達的特性を横断的に明らかにし、これらの発達的特性の包括概念であり本研究が維持・増進させたいレジリエンスの測定ツールの材料の整備を24年度に行った。これらによって積み上げられたレジリエンス測定ツールの開発を25年度に行うとともに、23年、24年度に実施したツールの信頼性・妥当性の検証を土台に、中高年者のレジリエンスおよびQOL向上のための教授法について勘案することを目的とした調査実験を実施し、研究の総括とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「設備備品費、消耗品費」:実験器具、検査記録用紙などの消耗品が研究実施に必要である。研究に関連する図書を重点的に購入し論文執筆に活用し、研究成果を国際誌へ投稿し、研究の精緻化を図るため、英文校閲費が必要となる。「国内、海外旅費」:中高年者を対象とした北海道八雲町での調査、およびそれらの準備や共同研究者との打ち合わせに関する交通費等が最も必要となる経費であり、大きな割合を占める。さらに、研究成果報告、情報収集、海外研究者との打ち合わせを含めた旅費、および研究の方向性を明確にする上でも論文執筆や学会活動を重要視するため、旅費への応分の配慮が必要である。「謝金」:資料収集の協力や調査分析を複数人にて実施する必要がある。「その他」:北海道への調査用紙の郵送、返送にかかる経費であり、今年度は特にその他への応分の配慮が必要となる。さらに、研究の精緻化を図るため、共同研究者との研究会を開催し、外部向けの研究成果報告会を開くための会場費、研修費を必要とする。
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] Mathematical word problem solving in children engaged in computer-based metacognitive support: Longitudinal study2012
Author(s)
Tajika. H., Nakatsu, N., Neumann, E., Nozaki, H., Kato, H., Fujitani, T., & Hotta, C.
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Journal Title
Educational technical research
Volume: 35
Pages: 1 9
Peer Reviewed
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