2012 Fiscal Year Research-status Report
児童・生徒の主体的な競争を促進する教師の指導態度に関する研究
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23730633
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
太田 伸幸 中部大学, 現代教育学部, 准教授 (40367628)
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Keywords | 競争 / 教師の指導態度 / 自発的な競争 / Web調査 |
Research Abstract |
室山・堀野(1991)は敗者に対しての配慮を示すことや,競争の対等性を維持できるような条件を導入することで,否定的な対人感情は生起しないことを明らかにしている.学校場面において競争の対等性を維持できる環境を提供できる存在として教師がいる.そして,子どもが「主体的に」競争が行える ようにするためには,教師の果たす役割が大きいと考えられる.すなわち,教育場面において児童・生徒に主体的な競争を促す態度の 育成には,教師の競争に対する指導態度・指導行動のあり方を明らかにすることが必要である. そこで,24年度は23年度に実施した教師の競争に対する指導態度や競争に対する信念について,Web調査を実施したのデータを使用して教師の競争場面における具体的な指導行動に注目して検討を行なった.調査では授業場面および授業場面以外に おける子どもが競争する場面を自由にあげてもらい,その場面における自身の指導行動およびその理由についての自由記述を求めた.授業場面における競争の内容を5種類(課題,意見,競技・ゲーム,日常生活,なし),その場面における指導内容について9種類(とくにしない,意見,他)に分類した.競争心の類型ごとに集計したところ,どの類型においても課題やゲームなどの優劣が分かりやすい事柄を競争場面としてあげているが,指導内容には類型により違いが認められた.手段型競争者は「対人関係維持」が他の2類型よりも割合が高く,「勝敗以外の目標」が低かった.これは,過程を重視する手段型競争者は結果を意識することによる影響に配慮した指導を行っており,結果を重視する「目標型競争者」「消極型競争者」は勝敗以外にも注目させる指導を行っていることを意味すると考えられる.すなわち自身の持つ競争に対する態度を基準に指導内容が決定されているととらえることができる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
24年度は23年度に実施したWeb調査データの分析を中心に研究を進めていたため,尺度作成のための調査準備までしか実施できなかった.Web調査についても実施時期の兼ね合いより24年度実施は見送ったため,研究計画のうち25年度に回す内容が増えてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
25年度前半のうちに,24年度に実施見送りとした一連の調査を実施し,後半に教師と児童・生徒の両者を対象とした調査を実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本来は24年度に計画実施する予定であったWeb調査を調査時期の関係から25年度に実施することに変更したため,Web調査費用分の予算が25年度に繰り越すことになった.また,教師および児童・生徒を対象とした調査を実施するため,調査実施補助およびデータ整理に関して謝金を必要とする.
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Research Products
(2 results)