2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23730635
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Research Institution | Kyoto Gakuen University |
Principal Investigator |
赤間 健一 京都学園大学, 人間文化学部, 嘱託講師 (40469078)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 動機づけ / 自己調整 / メタ認知 / 教育系心理学 |
Research Abstract |
大学生の動機づけ調整スタイルを検討することを目的とし研究を進めた。まず、大学生の活動領域を特定し、各領域における動機づけの関連を調べることを第1の目的とした。異なる領域における動機づけが他の領域の動機づけに影響するのであれば、動機づけに対して様々な側面からのアプローチが可能になると考えたためである。結果として、大学における講義への参加と同程度に、想定していた領域ではない対人関係を重視する学生が多かったために、活動領域として、講義、対人関係、その他の3領域を設定した。しかしながら対人領域は想定外の領域であったために動機づけを測定するための尺度の選定など準備が整わなかったために領域の特定までで中断した。 次に、最終的に大学生が自分自身で自身の動機づけを調整できるような授業を通して介入方法を提案することが目的であるので、そのために、大学生の動機づけ調整スタイルを測定することが必要である。そのための測定尺度として、調整能力に関する動機づけに対するメタ認知的知識と制御(メタモチベーション)を測定する尺度、および実際の動機づけの調整方略を測定するための尺度の作成を行った。いずれの尺度についても、2度の調査を実施することで、測定項目の選定、および信頼性、妥当性を確認することができた。 23年度の研究の結果から、まず大学生の日常の活動領域として重視しているものが大学の講義はもちろん、それと同程度に対人関係を重視していることが示され、特にこの2領域における動機づけの関係性を中心に検討する必要性が示唆された。また、大学生の動機づけ調整スタイルを特定するために、動機づけ調整関わる能力や方略を測定する尺度が完成したため、これらを利用して、今後動機づけ調整スタイルについて明らかにすることが可能になるだろう。23年度の研究は以降の研究を進めるための基礎を築いたといえよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度に計画していた調査研究は、大学生の複数領域にわたる動機づけ状態を測定し、複数の領域間の動機づけの関連性を明らかにすること、および実際に動機づけを自ら調整する際に必要となる能力であるメタモチベーションと実際の調整方法を測定するための尺度の開発であった。まず動機づけ状態の測定を行うにあたり、最初に大学生の日常の生活領域を特定する調査を実施した。その結果、大学における講義への出席を重視する学生が大半であったが、それと同程度に計画時に想定外であった他者と過ごす時間の重要性が高く、他者と過ごすことに対する動機づけを測定するための尺度の選定に時間がかかったために、動機づけの測定を実施するに至らず予定より遅れている状態である。遅れた分は、24年度には実施できる準備は整っている。もう一つの調査内容であった、メタモチベーション尺度、および動機づけ調整方略尺度については、予定していた1度のみならず、2度目の調査まで実施でき、それぞれの尺度を完成させることができた。さらに、一部ではあるものの、当初24年度に計画していた動機づけや成績などの他の指標との関係を検討することまで行うことができた。大学生の動機づけ状態の測定に関しては予定よりも遅れているが、24年度に実施することが可能な状態であり、メタモチベーション、および動機づけ調整方略に関する調査は予定以上に進めることができたため、総合的に見て、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度は一部遅れている部分はあるものの、予定以上に進んだ部分もあり、おおむね順調に進展していると判断した。そのため、今後の研究も基本的には計画に沿って進めていく。 実施予定の調査は、23年度に実施する予定であった複数領域における動機づけ状態の測定、およびその関係性の検討の調査を行う。調査結果は最終年度に行う授業を通した介入方法の提案のために必要である。また、動機づけ調整に関する調査として、動機づけ調整方略の安定性を調べるために2度の調査を、メタモチベーションと遂行結果との関連の検討を行うために1度の調査を予定している。合わせて研究成果の発表を進めていくために、データの入力に関してのみアルバイトを使用することで研究が円滑に行えるようにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、まず昨年度の研究成果の報告として学会での発表を行う。これは当初の予定では1回のみであったが、予定していたよりも進んだ研究の部分があるために、2度の学会発表を行うこととする。そのために、前年度の予算の一部を残し、今年度の予定外の学会発表に使用する。一つは神奈川県で行われる日本心理学会第76回大会で、もう一つは沖縄県で開催される日本教育心理学会第54回総会で発表する。それぞれの大会における発表申請費用として、11.5千円と12千円が必要である。神奈川県で開催される学会については、旅費・交通費として50千円、沖縄県で開催される学会については、旅費・交通費として80千円程度を予定している。 調査研究については、昨年度に実施できなかった動機づけ状態の検討と、動機づけ調整方略、メタモチベーションの尺度を使用し、動機づけ調整スタイルの検討に入る。まず動機づけ調整方略の安定性を検討するために、3カ月程度の間隔で同一の調査対象者に2度の調査を実施する。2度の調査への協力に対し、一人当たり0.5千円の図書券を謝礼として渡す予定である。100人から150人を予定しているため、50千円から75千円を使用する予定である。人数が確定できないのは、2度目の調査にどれだけの協力が得られるかは実施するまで分からないためである。 それ以外に、調査用紙の印刷にかかる用紙代として5千円、調査と並行して研究発表などを行うために、23年度よりも作業量が増えるために、残金の範囲内でデータ入力補助のアルバイト代として支出する予定である。
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