2013 Fiscal Year Annual Research Report
言語活動促進プログラムが算数の複数解法協調的吟味を促す効果に関する研究
Project/Area Number |
23730636
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
河崎 美保 追手門学院大学, 心理学部, 講師 (70536127)
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Keywords | 学習過程 / 協調学習 / 言語活動 / 教師の成長 |
Research Abstract |
本研究は,協調的学習理論を深化させるとともに,協調学習を支える言語力の育成という重要課題に取り組むべく,第1に協調的言語活動促進プログラムの開発・実施、第2に1つの問題に対して児童が考案する複数の解法を「協調的」に吟味した場合に期待される学習促進効果及びそのメカニズムの解明、第3に以上の二点を進める中で教員に生じる協調的言語活動に対する認識の変容の解明を目的とした。 研究の最終年度となる本年度は,二年目と同様に第3の目的を中心に据え、協調的言語活動に対する経験の比較的多い教員の特徴を、二年目に協力を得た経験の少ない教員との比較から抽出するアプローチをとった。具体的には当該教員と連携して小学6年生の算数授業を実践する際の計画及び実行段階における教員の言動から、協調的言語活動に対してどのような認識を持っているかを分析した。その結果、教員は計画段階において、児童同士がいかに建設的に相互作用できるかを考慮し課題を選定しようとする傾向があり、実行段階において、児童の様子をモニターしながら複数の授業展開・時間配分を案出し、柔軟に選択する傾向がみられた。 研究期間全体を通じた研究成果として本研究は、第1の目的のように協調的言語活動促進プログラムを導入し、授業の進行と独立・並行に望ましい言語活動のルールを教師が児童にフィードバックしながら学ばせることが、協調的言語活動を促進する上で優先すべき要因ではないということを示唆した。むしろ第3の目的のもと行った研究から、課題把握、自力解決、集団解決という問題解決学習の授業型にとらわれず、授業で到達させたい理解に向けて児童同士の協調がいかに機能し得るかという観点から教員が授業を構想できるかが重要であると考えられた。理解の深化過程や協調活動の効果に関する学習理論を教員が学び実践につなげることを支援するという発展的課題を明らかにした点で本研究の意義は大きい。
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