2013 Fiscal Year Research-status Report
コンボイモデルを用いた定年退職期におけるソーシャルネットワークに関する縦断的検討
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23730641
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Research Institution | Aichi Konan College |
Principal Investigator |
森山 雅子 愛知江南短期大学, その他部局等, 講師 (90532432)
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Keywords | ソーシャルネットワーク / コンボイモデル / 定年退職 |
Research Abstract |
本研究は、「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期疫学研究(NILS-LSA)」での大規模なコホート研究のデータを用い、定年退職期のソーシャルネットワークの移行と心理的健康の関連を検討することを目的としている。ソーシャルネットワークの移行をとらえる方法としてコンボイモデルを用いる。コンボイモデルは、個人にとって重要かつ情動的に近い関係の人々を階層化された3つの同心円に描くことで、ソーシャルネットワークを評価する方法である。本年度は以下の2つの解析を実施した。 1.中高年者のソーシャルネットワークの実態 第6次調査における40歳代から80歳代の参加者(2302名)のデータを用い、ネットワークの各続柄について1回以上出現した頻度を検討した。その結果、配偶者・息子・娘といった家族や、友人や親友など友だちの出現頻度は高いことが示された。 また、複数の続柄を、家族、友人、会社関係、その他社会的関係、の4つのカテゴリーにまとめ、カテゴリー別の人数を算出した。4つのカテゴリーについて年代別・階層別にヒストグラムを作成し比較した。その結果、いずれの年代においても家族については第1円に高い割合でみられ、友人や会社の人、その他社会的関係については第2円・第3円に高い割合でみられた。家族が重要かつ情動的に近い関係であるという中高年者のソーシャルネットワークの実態が示されたといえる。 2.定年退職前後のネットワークの量的変化 第3次調査から第6次調査において定年退職を経験した参加者(161名)のデータを用い、ソーシャルネットワークの総数および階層別の3つの円のそれぞれの人数の定年退職前後の違いを検討した。その結果、定年退職前後のネットワーク数の差は検出されなかった。つまり、定年退職前後に量的なネットワークの変化はなく、質的な変化に着目する必要があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度においては、定年退職を経験した対象者におけるソーシャルネットワークの移行パターンを明らかにすることが目的であった。しかしながら、定年退職者の移行パターンを検討するためには、中高年者のソーシャルネットワークの実態について明確にしていく必要があるため、本年度は、昨年度に引き続き、中高年者のネットワークの実態について解明していた。そのため定年退職者のソーシャルネットワークの量的な推移については検討したものの、移行パターンを検討するには至らなかった。よって、「おおむね順調に進展している」と評価することはできない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究においては、必要なデータは取得済みであり、データベースの作成およびデータクリーニングも終了している。研究計画の変更はせず、平成26度は、平成25年度に解析する予定であったものを早期に行い、成果物を学会発表にて公表する。具体的には、8月までに短期的な移行パターンの検討および長期的な移行パターンを明らかにし、9月には短期的移行パターンと心理的健康の関連を検討する。そして10月以降、平成26年度の研究計画であった心理的健康を維持するための定年退職期のソーシャルネットワーク以降の総合的仕組みを明らかにする。
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