2014 Fiscal Year Annual Research Report
コンボイモデルを用いた定年退職期におけるソーシャルネットワークに関する縦断的検討
Project/Area Number |
23730641
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Research Institution | Aichi Konan College |
Principal Investigator |
森山 雅子 愛知江南短期大学, その他部局等, 講師 (90532432)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | コンボイモデル / 中高年 / 社会的ネットワーク / 自尊感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期疫学研究(NILS-LSA)」での大規模なコホート研究のデータを用い、定年退職期のソーシャルネットワーク(以下、NW)の移行と心理的健康の関連を検討することを目的としている。NWの移行をとらえる方法としてコンボイモデルを用いる。コンボイモデルは、個人にとって重要かつ情動的に近い関係の人々を階層化された3つの同心円に描くことで、NWを評価する方法である。 研究の成果:NILS-LSAの第7次調査のデータ(2330名)を用いた2つの解析から学会発表を行った。(1)中高年者のNW構成人数の多寡と心理的健康の指標の1つである自尊感情との関連を性・年代別に検討した。共分散分析の結果、NW構成人数の多さが自尊感情の高さと関連し、男女でその様相が異なることが示された。男性ではどの年代でも、女性では50代、70歳以上で人とのつながりの多さと自己への評価の高さが関連することが示唆された。(2)コンボイモデルにより捉えた親密度と対象者との関係(間柄)を指標として中高年者のNWと自尊感情の関連を性・年代別の階層的重回帰分析により検討した。結果、自尊感情に対してNWの親密度や間柄の効果が性・年代によって異なることが示された。50代以降、子どもの独立や仕事からの引退に伴いNWの多様な変化が生じると推測され、NWの在り様が自尊感情の重要な要因となる可能性が示された。男性では、退職等の移行期である50・60代において親密度の高い知人の存在が重要であり、女性は50代以降で親密度中・低の知人が、60代女性にとって親密度の高い家族の存在が重要な要因となることが特徴的であった。 意義・重要性:これらの知見は、中高年期の適応的な人間関係の型に関する実証的な研究であり、NWの観点から高齢者のサポートを考える上で重要な手掛かりとなるといえる。
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Research Products
(2 results)