2012 Fiscal Year Annual Research Report
援助職の援助要請プロセスとバーンアウトとの関連の検討
Project/Area Number |
23730648
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小堀 彩子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (00432188)
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Keywords | バーンアウト / 教師 / 被援助志向性 / 教育相談体制 / 連携 |
Research Abstract |
昨今小中高校において連携の必要性が叫ばれているが,学校は組織の特質上,学外の者との連携が十分に機能しない場合が少なくない。本研究ではこうした状況を打開すべく,教師が外部資源を活用し,援助要請を円滑に行い,教師の疲弊を減らすための要因を探ることを目的とした。 1年目は教師が外部資源であるスクールカウンセラーに対してどのような援助要請を行っているのか,連携がうまく機能する場合とはどのような状況であるのか,といったことを明らかにするため,スクールカウンセラーに対する面接調査を行った。その結果,教師教師自身が業務上の困難を抱え込む傾向と,教師が所属する組織が教育相談体制の整備の度合いが,教師の疲弊の程度に影響している可能性が導かれた。 2年目は仮説モデルを元に,小学校から高校までの教員を対象に,従属変数をバーンアウト,独立変数を教師個人の被援助志向性と教師の所属する学校の教育相談体制とし,質問紙調査を行った。 その結果小学校と中学校においては,学校の教育相談体制が十分でなく,被援助志向性が高い教師はバーンアウト傾向(情緒的消耗感・脱人格化)が高いことが明らかになった。つまり教師が援助を求めても,学校内にそれに応えるだけの十分な相談体制が整備されていない場合,教師は疲弊を感じやすいということである。高校においては被援助志向性と教育相談体制との交互作用は見られず,被援助志向性の主効果のみ見られた。すなわち教育相談体制が十分に整っていない学校に所属する教師は十分に整っている学校に所属する教師に比べ,バーンアウト傾向(脱人格化)が高くなることが明らかになった。 以上の結果から,教師の疲弊を減らす上で,教師個人への介入と学校組織への働きかけという両方の要因を考慮に入れたうえで連携体制を整備していく必要が明らかになった。 以上の結果は,2013年日本心理学会大会にて発表予定である。
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