2013 Fiscal Year Annual Research Report
小学生から高校生までの学校における怒りの多次元的特徴の検証とその予防的介入
Project/Area Number |
23730650
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
下田 芳幸 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (30510367)
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Keywords | 怒り / 学校 / 小学生 / 中学生 / 自動思考 / 社会的スキル / 心理教育 |
Research Abstract |
1)学校での怒りと自動思考との関連の検討:小中学生における学校での怒りと自動思考との関連性について、2波のパネル調査のデータを用いて検討した。その結果、感情的側面である怒り体験には、中学生男子のみ、ポジティブ自動思考から正の影響が示された。認知的側面である学校での敵意では、小中学生の男子でネガティブ自動思考からの影響があり、女子は小中学生ともに、自動思考のいずれとも双方向の影響性が示された。行動的側面のうち破壊的表出については関連が示されず、積極的対処に関しては、小学生男子と中学生女子でポジティブ自動思考からの正の影響が観測された。 2)学校での怒りと社会的スキルとの関連の検討:小中学生における学校での怒りと社会的スキルとの関連性について、2波のパネル調査のデータを用いて検討した。その結果、感情的側面である怒り体験から社会的スキルへの影響はほとんどみられず、認知的側面である学校への敵意は、どの対象においても、ほぼすべての社会的スキルと相互抑制的な影響を及ぼしていた。行動的側面のうち破壊的表出については、小学生男子と中学生女子で複数のスキルと相互に抑制的な影響を及ぼしていた。積極的対処は、小学生女子以外の対象者について、概ね正の相互影響を示していた。 3)学校での怒りに対する心理教育の効果:小学5年生を対象に、怒りのコントロールに関する2時間の心理教育を実践した。その結果、女子の破壊的表出の得点が低下しており、破壊的表出の緩和に効果のある可能性が示唆されたが、対照群を設定していないため、今後の検討課題である。また中学1年生を対象に、怒りのコントロールに関する心理教育を2時間実践した。その結果、実践したクラスの破壊的表出の得点が低下しており、破壊的表出に効果のあることが考えられる。したがって、怒りの不適切な表出については、比較的少ない回数でも変容可能である可能性がある。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] An Examination of the Factorial Invariance and Refinement of the Multidimensional School Anger Inventory for Five Pacific Rim Countries.2013
Author(s)
Furlong, M. J., You, S., Smith, D. C., Gonzalez, V., Boman, P., Shimoda, Y., Terasaka, A., Merino, C., & Grazioso, M., P.
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Journal Title
International Journal of School & Educational Psychology
Volume: 1
Pages: 20-35
Peer Reviewed
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