2012 Fiscal Year Research-status Report
日本におけるロールシャッハ法の輸入過程と発展過程の検討
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23730653
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
佐渡 忠洋 岐阜大学, 保健管理センター, 助教 (60510576)
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Keywords | ヘルマン・ロールシャッハ / フィールド調査 / 歴史学 / 図版 / 内田勇三郎 / 岡田強 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ロールシャッハ法が日本へどのように輸入されてきたか(輸入過程)、そして日本においてどのように発展してきたか(発展過程)を検討することである。本年度は特に調査に力を注いだ。 1)ロールシャッハ法の創案者であるヘルマン・ロールシャッハが活躍したスイスの地を訪ね、さまざまな歴史的資料にあたった。Rorschach Archivesで資料を検索でき、4つの病院を視察した。日本に紹介されていないヘルマン・ロールシャッハの逸史も調査できたことは大きい。この成果はまとめている最中である。2)さらに、日本でロールシャッハ法に次いでメジャーな投映法であるバウムテストの調査もスイスで行った。バウムテストを体系化したカール・コッホの娘、レグラ・コッホ女史と研究会議を行い、未刊行資料やローデータなどさまざまな資料を検索できた。その際、スイスにおけるロールシャッハ法とバウムテストの使用状況なども議論できた。この資料はこれから報告する予定である。3)また、日本で最初にロールシャッハ法の研究を行った内田勇三郎の調査も行った。日本精神技術研究所において、彼の長男である内田純平氏と面会し、内田勇三郎の逸話などを知ることができた。4)日本で制作されたインクブロット図版の調査も行い、計11つの図版を検索できた。これは日本でのロールシャッハ法の発展を理解する上で、きわめて需要な資料である。この成果は平成25年度に学会発表できるよう、準備を進めている。 以上のように、今年度は有意義な調査を進めることができた。来年度は、引き続き調査を進めつつ、以上の成果を随時報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に研究は進んでいる。得てきたデータや資料は多く、貴重であるのだが、それらを公表することは遅れている。しかし、来年度に行う予定であるので問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、これまで得られてきた資料を報告することに力を注ぎたい。 歴史学的な調査には時間がかかり、とりわけ、故人の調査は難しい部分がある。しかし、協力者とは連絡が取れ、引き続き調査を遂行できる環境にある。来年度に時間と労力をかけることで、この問題は克服できる。 また、調査と報告をすすめつつ、全体を総括していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、資料収集と発表に経費を用いる予定である。歴史学的な資料が、当初見込みよりも多く、特に資料の複写や入手、フィールドワークのための費用に引き続き用いたい。まだ、学会での発表にかかる費用としても合わせて計上する。
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Research Products
(4 results)