2012 Fiscal Year Research-status Report
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23730659
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小山 徹平 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (50535656)
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Keywords | 認知行動療法 / 統合失調症 |
Research Abstract |
幻聴妄想症状の心理社会的治療として効果的であるとされている認知行動療法を,幻聴妄想症状のある統合失調症患者を対象に行ない,認知行動療法の主たる要素である「心理教育」「行動的技法」「認知的技法」が治療においてどのような効果をもたらすかを明らかにすることを目的とし、本研究は行われた。本年度は、対象者の選別を行い、プログラムの実施をした。 まず、対象者の選別では、候補者に対してまず半構造化面接を行った。この面接は、Tarrier(1993)の統合失調症に対する対処ストラテジー増強法における半構造化面接として示されている項目と,福島医大版症状自己管理プログラムDVD(丹羽・小山ら,2010)で作成した症状聴取シートを元に作成した、マニュアルに従って行われた。 本面接でプログラム参加への了承を得られた候補者に対して、続いて、導入面接を行った。この導入面接では、福島医大版症状自己管理プログラムDVD(丹羽・小山ら,2010)で作成された動機付けを目的とした導入面接マニュアルを用いた。続いて、Bellakら(2000)がSSTの導入で行なっている社会状況面接の手続きの一部を行い、対象者の認知機能や幻聴や妄想症状への対処技能の査定を行った。 次に、対象者に幻聴妄想症状への認知行動療法プログラムを行った。本プログラムは、昨年度作成した治療者用マニュアル従い患者用テキストを使用し、個人面接の形で1回60分~90分で実施された。プログラムは、Kuipersら(1998), Buccheriら(1996),Peters(1999)ら,原田ら(2002,2005)のプログラムを参考に作成されたもので、心理教育,行動的技法,認知的技法の3要素で構成された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、昨年度作成した「対象者の選別を目的とした半構造化面接マニュアル」と「認知行動療法プログラムへの導入面接マニュアル」の2つのマニュアルに従って対象者の選別を行い、「幻聴妄想症状への認知行動療法プログラム」の実施を予定していた。そして、本年度は、それぞれ予定通り、面接の実施とプログラムの実施に至った。 実施したプログラムでは、第1セッションは「導入」とし、セッション全体のアジェンダを提示し,プログラムの目的の理解と共有を行なう内容を実施した。第2セッションは「心理教育」とし、幻聴妄想症状の再発悪化の環境要因について,幻聴妄想症状に対する対処法について心理教育を行なう内容を行った。その際、テキストに従って、理解を促進し、自己の症状の客観視を促した。第3セッションは行動的技法の獲得を目的とし、認知行動療法の行動技法であるロールプレイ技法とリラクセーション技法を中心に用いた。その際のリラクセーション技能としては、筋弛緩法と呼吸法を使用した。第4セッションは認知的技法を用いるセッションとし、幻聴妄想に対する「自動思考の修正」と「合理的思考の提示」を行った。対象者によっては合理的思考を自ら思い浮かべられるように介入した。第5セッションは「振り返りとまとめ」を行い、終了時の測度の実施した。介入によって問題が起きている場合などは個別のフォローを行えるように内容を構成したが、実際は問題が起きることはなかった。 予定では、本年度中にプログラムの実施が終了する予定ではあったが、対象者の都合等でプログラムの実施が遅れたケースもあり、現在もプログラムが実施中である対象者もいることから、「(3)やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は今後も引き続き、幻聴妄想症状の心理社会的治療として効果的であるとされている認知行動療法を,幻聴妄想症状のある統合失調症患者を対象に行ない,認知行動療法の主たる要素である「心理教育」「行動的技法」「認知的技法」が治療においてどのような効果をもたらすかを明らかにすることを目的とし行われる予定である。 今後はまず、現在実施中の幻聴妄想症状への認知行動療法プログラムの実施を継続する予定である。その後、主観的不安尺度に基づいて測定した、幻聴妄想症状の再発に対する予期不安及び,幻聴妄想症状の再発時の不安と,幻聴妄想症状の再発時の対処行動に対するセルフエフィカシー及び幻聴妄想症状を予防行動に対するセルフエフィカシー等のデータについてについて分析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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