2013 Fiscal Year Annual Research Report
ポジティブ心理学モデルによる筆記を用いた抑うつの予防的心理教育プログラムの開発
Project/Area Number |
23730668
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Research Institution | Saitama Gakuen University |
Principal Investigator |
羽鳥 健司 埼玉学園大学, 人間学部, 講師 (10458698)
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Keywords | ポジティブ心理学 / 肯定的心理資源 / ポジティブ心理療法 / 筆記 / 感謝 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究では、個人が有する肯定的心理資源を育成・強化するポジティブ心理学的介入プログラムを作成し、大学生の抑うつ症状の低減と予防およびその持続効果を検証することであった。初年度(平成23年度)では理論の網羅的検討と評価尺度の開発を行った。次年度(平成24年度)では、困難な出来事を乗り越えたからこそ成長したと知覚するとされる外傷後成長の理論を筆記療法に応用した介入を実施した。その結果精神的健康が増進されたことが示された。初年度は作成された2つの評価尺度が国外の査読雑誌に掲載され、次年度に実施した研究結果は国内の査読雑誌に掲載された。 最終年度(平成25年度)は、他者への感謝感情の表明と共有を行うプログラムを実施し、抑うつ症状の低減に対して有する効果の検討を行った。感謝は肯定的感情の一つである。肯定的感情の増進は、個人の認知行動的対処方略のレパートリーを増幅させ、副交感神経を優位にすることで身体的緊張をほぐし、表情が柔和になって他者に関心を向けさせるようになることによって社会的資源を構築しやくすなるとされている。その結果抑うつ症状低減に効果を有すると期待できる。初めに補助的に小学生を対象としてこのプログラムを実施した結果、感謝以外の肯定的感情が増大し、抑うつ症状が低減したことが示された。しかしプログラム終了1ヵ月後には効果が消えていた。これとほぼ同様のプログラムを現在大学生を対象に実施し、感謝以外の肯定的感情と否定的感情および抑うつ症状の低減に対する効果、およびプログラムの持続効果を検証している最中である。
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